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大空幸星さんと話す「夢も目的もいらない。生きるだけで十分な人生」のこと【今会いたい、同世代の活動者たち】

大空幸星さんと話す「夢も目的もいらない。生きるだけで十分な人生」のこと【今会いたい、同世代の活動者たち】

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「僕たちの未来はどうなるんだろう」。暗いニュースを聞くたびに、そんな不安が頭をよぎる今日この頃。社会を変えようと活動する人々は、今どんなことを考えてどんな未来が見えているのだろうか。同じ時代を生きる彼らと共に考えながら自分なりの希望を探してみよう。今回は、NPO法人あなたのいばしょ 理事長・大空幸星さんにお話を伺いました。

 

大空幸星さんと話す
夢も目的もいらない。
生きるだけで十分な人生
のこと

 

僕は特別じゃない。
誰でも活動できます

NPO法人あなたのいばしょ 理事長
大空幸星さん

PROFILE

1998年生まれ、愛媛県出身。ネグレクトされて育った経験をもとに、慶應義塾大学に在学中の2020年、NPO法人「あなたのいばしょ」を立ち上げる。コメンテーターとして『堀潤モーニングFLAG』『Mr.サンデー』などの番組に出演中。

社会を変えたいわけじゃない。
行動しないことが耐えられないだけ

悩む人が増えている原因は
人間同士のつながりの希薄さ

24時間対応の無料チャット相談「あなたのいばしょ」を立ち上げ、代表を務める傍ら、自らチャット相談に対応している大空さん。社会全体が大きく変化した近年、人々の悩みも変化しましたか?

「複合的な悩みを抱える人が増えたように感じます。例えば経済的に困っている、という悩みを発端に、誰にも頼れない、学業を続けられない、将来に希望が持てない、という感じで悩みが悩みの種となり、どんどん大きくなってしまっている」

――その原因は何でしょう。

「人間は必ず悩みを感じる生き物で、いつの時代も何かしらの壁はあるんです。ただ昔は、悩んだときに誰かとつながれる環境があったんですね。誰かに寄り添ってもらいながら一緒に解決に向かっていたはずが、人間同士のつながりが希薄になったことで、ひとりで悩みを抱える人が増えてしまった。その背景には、高齢化と核家族化、さらにコロナの影響によって、関わる人間の数が大幅に減っていることが挙げられます。もうひとつは、2000年代初頭から強まっていった自己責任社会ですね。そのもととなる自己責任論は、政府などによる規制を最小化し、自由競争を重んじる新自由主義が発端。“努力した人は裕福になれる。貧困は努力していないから”という社会のメッセージによって、人に頼ることが恥ずかしい、自分の問題は自分で解決しなければいけない、という考えが浸透してしまったんです」


――SNSが誕生し、人とのコミュニケーションは増えたはず。それにもかかわらず、人とのつながりが希薄になってしまうのはなぜですか?

「コミュニケーションは、量よりも質が重要なんです。たくさん友達がいても、全員にすべてを話せるわけではないですよね? 関わる人が多ければ頼れる人と出会う機会も増えるというだけで、逆に頼れる人がいなければ、家族や友達がいても悩みは解決できない。僕自身、両親からネグレクトされていたことを友達に打ち明けたことはありませんでした。子どもの頃は、悩みが自分のせいだと感じることもなかったけど、精神的な困窮が長く続くと、誰かに頼る選択肢すら浮かばなくなるんですよ。心理的視野狭窄(きょうさく)ともいわれる現象ですね。高校生になってからは、生活のために学校で禁止されていたアルバイトをしていて。物理的に隠さなければならず、話せない状況が続きました」

仕事と割り切らないと
自分自身がつぶれちゃう

先生のすすめで大学に進学し、在学中にNPO法人を設立。当時はどんな思いを抱いていましたか?

「僕自身の原体験から始まっていることではあるのですが、社会問題を解決したい! という強い意志があったわけではなくて。何もしないことが耐えられない、という感情が大きかった記憶があります。入学当初は、就職して、結婚して、子どもを持って……と、いわゆる“普通の生活”を送る未来を思い描いていたんですよ。でも徐々に、いつか耐えられなくなる気がしたんです。自分はこれでいいのか? と、おそらく30歳くらいで迷うんだろうなって。それから行動してもよかったんだろうけど、学生は時間もたくさんあるし、やろうと思えば今できる。じゃあやろう、という感じでしたね」

想像をはるかに超える相談数の多さに、驚いたとか。ボランティア相談員の増員や、政策提言を行うなど、多忙を極める大空さんにとっての原動力は何ですか?

「今は月に2万〜3万人の方から相談があり、日々、たくさんの感謝の言葉をいただきます。“明日もまた生きてみたいと思いました”と言ってくださる方もいれば、相談後に寄付してくださる方もいる。もちろんありがたいし、やっていてよかったなとは思うんですけど……そのためかというと、違う気がするんです。やりがいとか志がこの仕事の原動力になっているわけではないんですよ」

意外です。

「600人いるボランティアの相談員には、誰かに手を差し伸べたい、命を救いたいという志を持った方がたくさんいらっしゃって、それは尊いことですし、すごく尊敬しています。でも正直、僕はそうではなくて、だからこそ続けられる気がしています。相談窓口を運営していると、さまざまなプレッシャーがあるんですよ。SNSやメディアでたたかれて殺人予告を受けることもある中で、代表の僕が職員を守り、社会的責任を果たさないといけない。そんな中で、現場では自死と隣り合わせの方と接する日々を送っていて……自分的にも厳しいというか、いっぱいいっぱいな状況なんです。この活動を“人生のすべてだ”“命をかけて全うしなきゃいけない”と思ってしまうと、僕自身がつぶれてしまうな、と。自分を守るために、意識的に“仕事なんだ”と割り切っています」


生きる意味や目的なんて
なくていい。死ぬまで生きる、
それだけで十分です

30年後には非営利団体が
消滅する可能性もある

厳しい状況の中で、活動を続けるのはどうしてですか?

「それは、やっぱり支援を求める人のセーフティネットを継続させるためですね。NPOなど非営利セクターの経営者の平均年齢は65歳を超えていて、このままだと30年後には消えてしまう可能性が高いんです」

支援や社会貢献を目的に掲げる若手起業家は、増えていると思っていました……。

「確かに起業家は増えています。ただし株式会社として起業すると、結局ビジネスの市場原理の中でしか生きていけず、自殺相談のように利益の生まれないセーフティネットは担えないんです。だからこそ、僕のように仕事として支援側に回る若者が増えるといいな、という願望があります。今、日本では新卒でNPOに入る人はほとんどいませんが、アメリカではたくさんいるんですよ。もちろん中には夢やビジョンを掲げている人もいるけど、仕事として向き合っている人もたくさんいる。生活のために企業に就職するのと同じ感覚で、NPOに入るんです。よく“すごいですね、自分には絶対にできない”と言われますが、僕はいたって普通の人間。仕事帰りに友達と食事をしたり、週末はフットサルをしたりする。僕ら若者が活動を続けることで、“政治家やNPO職員は別世界の人間”という隔たりをなくしていけたらいいな、と思っています」

夢や目標がないことで悩む若者にとって、励みになりそうですね。

「僕は、生きる意味なんてなくていいと思うんです。よく小学校の卒業文集で、将来の夢を語らされるじゃないですか。でも、実際に夢をかなえられる人なんて1割もいないですよね。夢を追いかけることを美化するだけして、夢破れたときに感じる絶望感は、誰もケアしてくれません。夢を人生の目標にするのは、リスクが高い宝くじを買うようなもの。そもそも生きる意味なんて、人間が勝手に生み出した概念なんです。いつか死ぬ日まで生き続ける、それだけで十分、尊いことなのに」

生きづらさを感じないために、個人で意識できることは?

「残念ながら、日本での暮らしはますます厳しくなるでしょうね。経済が大きく成長するとは思えないし、声を上げてもつぶされてしまうことが多いし……社会は簡単には変わらないと身をもって実感しているからこそ、Z世代はよくも悪くも、リアリストなんですよ。それが正解で、あまり高望みせず、ささやかな楽しみを見つけていくのがいいのかな、というのが個人的な意見。マクロな希望は追い求めず、実現したらラッキー! くらいのスタンスを意識することが、今後の時代をストレスなく生き抜くコツだと思います」


実現したらラッキー。
高望みせず、小さな
喜びを探すことが
苦しまないコツです

支援を受けるためのハードルがあまりに高い日本の状況に危機感を覚え、国の対策の必要性を感じたという大空さん。孤独問題を担当する国務大臣が存在するイギリス政府や、赤十字関係者への聞き込みを行い、2020年12月に日本独自の孤独対策案を提言。自身も、内閣官房孤独・孤立の実態把握に関する研究会構成員、内閣官房孤独・孤立対策担当室HP企画委員会委員ほかを務めている。

Photos:NAE.JAY Composition & Text:Ayano Nakanishi


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