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9月19日に公開される、今年注目の超大作映画『宝島』(大友啓史監督)で、本格的に俳優としての道を歩み始めた栄莉弥。本作のメインキャストとして、彼を間近で見ていた名優に、現場での印象を聞いた。
妻夫木 聡×広瀬すず×栄莉弥
映画『宝島』はどんな現場でした?
栄莉弥は映画『宝島』で、物語の鍵となるウタ役をオーディションで勝ち取った。そして、日本の映画界の宝といえる妻夫木聡、広瀬すずら豪華キャスト陣と肩を並べ演技に挑戦。妻夫木と広瀬は、「堂々とした佇まいが印象的」と栄莉弥との共演を振り返る。
妻夫木 お芝居を始めたばかりの人の雰囲気って、よし悪しにかかわらず画面に映りがち。でも、栄莉弥くんは映画でお芝居をするのがほぼ初めてだとはわからなかった。大友監督の現場は1シーンごとによりいい画を狙ってテイクを繰り返すので、精神力も求められる。その中で栄莉弥くんが粘って演技に向き合っていたので、すごいなって。
栄莉弥 初めての映画なので、それが当たり前だと思って必死でした。撮影セットは当時の街並みを再現していて、役に没頭できました。
広瀬 大友監督は熱い方で、俳優の演技を見ながら、さらに「こういうものが見たい」と、現場でアイデアを出しながら進めることもあります。そんな中で、栄莉弥くんは真面目に、同時に面白がりながらウタ役を演じていたのですばらしいなと思っていました。
妻夫木 今回は特に、重厚な物語のお芝居というところもあるとは思います。次の作品では楽に感じるかもしれない(笑)。
栄莉弥 なるほど。今回を最初の基準にして、次の現場でももっと頑張ります! お二人は心身ともにタフなシーンも多かったと思いますが、どんなときも疲れている様子がうかがえなくて。それが衝撃でした。
妻夫木 そんなことないよね?
広瀬 たまたま栄莉弥くんのいないところで休んでいたんだと思う(笑)。
栄莉弥 窪田(正孝)さんと4人で撮影する、とあるシーンで、何十回とテイクを重ねて、実は僕は精神的にギリギリだったのですが、皆さんはカットがかかるたびに気持ちも表情もすぐに切り替えてお芝居をしていて。これはとんでもないことだぞと思って、その場で「どうしてるんですか」と聞いちゃったんです。
広瀬 みんな何て言ってたっけ?
栄莉弥 窪田さんは「腹をくくるしかないんじゃない」と。
広瀬 うん、その言葉、思い出した。
栄莉弥 妻夫木さんにも同じ質問をすると「そうじゃないんじゃない?」と答えてくださって。
妻夫木 「そうじゃない」…?
栄莉弥 僕がそのとき思ったのは、「そういうふうにいろいろ考えている時点で違うんじゃない」という意味だと。
妻夫木 なるほど。って、なんで自分が言ったことに納得してるんだろ(笑)。
広瀬・栄莉弥 あはは(笑)。

妻夫木 お芝居って一回考え出すとハマっちゃって、その道しか見えなくなるから、俺はいったん全部頭の中から排除してプラスのことしか考えない、という意図があって言ったんだと思う。
広瀬 すごくわかります。
妻夫木 まさにそのシーンで、4人で大事な泣きのお芝居を撮影して、「やりきった!」と思ったところで、スタッフさんから「この後の、妻夫木さん(だけにフォーカスしたテイク)は日がもう少し明るくなってから撮るので、2時間後にお願いします」と言われて。俺だけまた2時間後に同じシーンを撮るのかって一瞬ぼう然としちゃったんだけど…。
広瀬 そのときはどう考えたんですか。
妻夫木 「大好きなお芝居がもう一回できるんだ」って。「なんなら疲れてきたし、休んでもう一回トライできるなんてラッキー!」って。
広瀬 すごい! そしてすてき。
栄莉弥 「そうじゃないんじゃない」にはそういう意味があったんですね。妻夫木 たぶんね(笑)。
広瀬 あの大事なシーンで妻夫木さんからそんなメッセージを受け取ったら、心に刺さりますし勇気をもらえます。
栄莉弥 はい。妻夫木さんのひと言にすごく重みを感じて。目力も強くて。
妻夫木 ビビらせたならごめん!(笑)
栄莉弥 いえ、背中を押された気がしてうれしかったんです。そして、皆さんと僕のやりとりを聞いて、すずさんが優しく「ウフフフ」って笑っていて。
広瀬 え、私、笑ってた?(笑)
栄莉弥 すずさんは、お二人の言葉を消化しようとする僕を見守ってくれている感じがしました。皆さんそれぞれのお芝居との向き合い方を知ることができた印象的な瞬間で、今でもその場面をリプレイできるくらいすてきな思い出です。本当にお世話になりました。
妻夫木 (笑)。思い出で言うと、撮影の待機中に栄莉弥くんからいろいろなカメラアプリを教えてもらって、それからスマホの撮影が好きになったんだ。
栄莉弥 うれしいです。
広瀬 みんなで撮影しましたよね。
栄莉弥 お二人が撮ってくださったみんなの写真ありますか?
広瀬 うん、ありますよ。
妻夫木 俺も。撮影中はあまり写真を撮り合うタイミングが他になくて、見返したらそのとき撮影した写真だけだった。現場での大切な思い出になったよ。
栄莉弥 ここで言うのもなんですが…お二人の写真、いただきたいです!
妻夫木・広瀬 もちろん!(笑)
[妻夫木]ニットポロ¥26,400/マーカ パンツ¥48,400/マーカウエア
[広瀬]パーカ¥46,100[参考価格]・スカート¥56,900[参考価格](ともにアヴァヴァブ)/サカス ピーアール ピアス¥41,800/キャリアリング リング[右手人さし指]¥202,400・[右手薬指]¥209,000・[左手人さし指]¥69,300・ネックレス¥220,000・チョーカー¥335,500/アーカー 表参道ヒルズ店
[栄莉弥]ジャケット¥42,900/アナトミカ 東京 その他/スタイリスト私物
Movie info

『宝島』
米統治下の沖縄で、米軍基地から物資を盗み、住民に分け与える“戦果アギヤー”の英雄・オン(永山瑛太)が、ある夜失踪した。残された幼なじみのグスク(妻夫木聡)は刑事に、恋人のヤマコ(広瀬すず)は教師に、弟のレイ(窪田正孝)はヤクザになり、彼の影を追い人生を歩む。●9月19日より全国公開
©真藤順丈/講談社 ©2025「宝島」製作委員会

俳優
Satoshi Tsumabuki
1980年12月13日生まれ、福岡県出身。2022年公開の映画『ある男』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。近年の出演は映画『本心』や放映中の連続テレビ小説『あんぱん』。

俳優
Suzu Hirose
1998年6月19日生まれ、静岡県出身。代表的な主演作に映画『片思い世界』などがある。現在、映画『遠い山なみの光』が公開中。2026年公開の映画『汝、星のごとく』が控えている。

俳優・モデル
Eriya
2005年11月29日生まれ、カナダ・トロント出身。21年に歴代最年少でグランプリを獲得し、メンズノンノモデルに。放映中のドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』に出演。
Photo:Tomoyo Tsutsumi[ende] Hair&Make-up:Azusa Oue(for Tsumabuki) Masayoshi Okudaira(for Hirose) Masaki Takada(for Eriya) Stylist:Yasuhiro Takehisa(for Tsumabuki) Akira Maruyama(for Hirose) So Matsukawa(for Eriya) Interview:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]
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