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世界中のアニメファンが、超ド級のクオリティに驚愕(きょうがく)した『ダンダダン』(龍幸伸によるコミック原作)。こんなにも注目と人気を集めた理由を、クリエイターの視点を通して追う。今回はオープニングテーマ、エンディングテーマをそれぞれ手がけるふたりの証言。
オープニングテーマ
アイナ・ジ・エンド 「革命道中」

AiNA THE END
楽器を持たないパンクバンド「BiSH」のメンバーとして活躍し、2023年のグループ解散後、ソロアーティストとして活動。10月から、全国9都市を巡るワンマンツアー「革命道中」を開催する。初のフォトエッセイ『達者じゃなくても』が発売中。
私から生まれる唯一無二の言葉を『ダンダダン』の世界に入れたかった
「アニメ主題歌の制作は勉強中で不安を感じますが、大好きな作品だと断然ワクワクが勝ちます」
第二期のオープニングテーマを担うのは、独自の歌声と存在感を放つアーティスト、アイナ・ジ・エンド。自身が書き下ろした「革命道中」で、待望の新章を彩る。
「物語はシリアスな展開を見せますが、前提としてラブコメ要素が作品に深みを与えていると思うので、ダークな曲にしすぎないようにしようとまず意識しました。第一期では、オカルンたちが戦っていく姿勢がビートやギターの弾みで表現されるなど、劇中の音にこだわりを感じたので、主題歌もキャッチーなメロディをつくりながら、歪(ゆが)んでいる部分を入れていくようなバランス感を追求しました。作詞は、原作漫画の好きなセリフを書き出すことから始めて、その言葉がいちばん輝くようにメロディを組み立てていきました。やっぱりオカルンの『萎(な)えるぜ』を使いたくて。ただそのままだとオカルンすぎるし(笑)、ともに戦うモモやジジも一緒に表現できる言葉にしたくて、『唸(うな)るぜ』に変えて大事なサビに置きました。タイトルの『革命道中』も、他にないキャッチーな言葉の“ダンダダン”の中に、私なりの唯一無二のワードを入れたくて生み出したもの。改めて、曲づくりにおいて、『ダンダダン』からは影響を受けてるなって。本作がもつ“観る人を飽きさせない展開”を表現するために、曲のセクションごとに声色やキーを変えてたり、本作が世界中の人の感性に刺激を与えて固定観念を覆したように、私も追っかけコーラスやダブル(複数回の歌唱を重ねる手法)に初挑戦してみた結果、何回も聴きたいと思ってもらえる力強い厚みをつくることができました」
エンディングテーマ
WurtS 「どうかしてる」

WurtS
2021年に音楽活動を本格始動。作詞・作曲・アレンジ、アートワークや映像に至るまですべてをセルフプロデュースする。ダンスミュージックを軸に、ロック、ヒップホップなど、ジャンルの垣根を越えた独自のポップミュージックを生み出し続ける。
キャラクターたちの中で起きる繊細な心の揺れを歌い方で表現
音楽や映像の分野で類いまれなる才能を発揮する “21世紀生まれのソロアーティスト”、WurtSが、『ダンダダン』第二期で、初めてアニメのエンディングテーマを手がける。多才な氏が心をつかまれたのは、つぶさに描かれたキャラクターたちの心の動きだという。
「SFやオカルトといったハチャメチャで壮大な物語の中で、モモやオカルン、キャラクター同士が共鳴し合い心をひとつにしたり、一方ですれ違ったり、さらには妖怪・アクロバティックさらさらのような怪異を通して人間の弱い部分を表現していたり…繊細な感情の揺れが描かれた物語にすごく惹かれたんです。主題歌制作において、その繊細さにフォーカスしていくことで、“どうかしてる”というテーマ、フレーズが生まれました。例えば、モモとオカルンの関係や戦いを進めていく様子を見ていると、『相手を好きなのか好きじゃないのか』『自分はまともなのかまともじゃないのか』みたいないろいろな思いを、二人が頭の中をぐちゃぐちゃにしながら巡らせているような感じがして。加えて、繊細な心の動きを表そうと声優さんが言葉のニュアンスを細かく操るように、僕も歌い方ひとつでいろいろな意味を捉えてほしいなと思いました。『どうかしてる』という言葉が、大切な人と共鳴して惹かれ合っているようにも、すれ違って苦しんでいるようにも、どちらとも取れるような表情豊かな曲にしたいなと。物語の冒頭を観て思ったのは、それぞれのキャラクターに感情移入ができて、みんなをもっと好きになるということ。今回、オカルンたちに共鳴する言葉をとことん探して曲に昇華したのもあって、個人的にこの先の戦いを追いかけていくのがすごく楽しみです」
Hair&Make-up:Ikuko Shindo[SHISEIDO](for AiNA THE END) Stylist:Ai Suganuma[TRON](for AiNA THE END) Jun Ishikawa(for WurtS) Photos:Kanta Matsubayashi Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]
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