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デビュー以来、ファッション界から注目を集める冨永章胤。いま彼の胸にあるのは、メンズノンノモデルとして歩む中で育まれた友情と経験、その先に見据えた母・冨永愛の名を超えていくという静かな覚悟。専属モデル卒業を迎えた20歳、次なる舞台に向かうその素顔に迫る!
専属モデル同期の友達が
活動の力と支えになった

──メンズノンノで思い出に残っている企画はありますか?
メンズノンノモデルになってはじめの一年ぐらいは同期とよく撮影することが多くて、どの企画も楽しかった。なかでも、自己紹介的に初めて(髙橋大翔、野村康太、四坂亮翔、松井大奈と)5人で撮影した、千葉の海でのロケは思い出に残っています。みんなで雰囲気を合わせたブラック系のロングコートを着て浜辺を歩いたりして。うれしいことに、同期とは仲が良くて、そのきっかけにもなった撮影だから…今となっては、仕事というか友達との思い出という感じです(笑)。
──同期と仲よしですよね?
遊びに行ったりごはんに行ったり、すごく仲良いですよ。四坂くんは岡山に住んでいたので、5人で揃って遊んだのは1回だけだけど、そのときに行ったボーリングが本当に楽しかった。四坂くんがうまくて、チーム分けのときにどっちも彼を仲間にしたくて取り合いになったり、僕は声を出しすぎて、後で喉を枯らしたりしてました(笑)。

──実際にメンズノンノモデルとしての活動はどうだった?
メンズノンノモデルになる前からモデル活動はしていたので、特に難しいことはなく馴染めたと思います。それまでの撮影では、表情やポージングなど、ビシッとカッコよく決めることが求められていたけど、『メンズノンノ』はどちらかというと爽やかで抜け感のあるラフな雰囲気で撮ることが多い。いろいろな企画によって顔の作り方も変えていくので、すごく勉強になりました。
──なるほど。
実は、それまでは撮られることにどこか気恥ずかしさがあって、顔にちょっと力を入れてクールな雰囲気の写真を撮る方が自分に向いていると思っていたんです。でも、『メンズノンノ』でファッションだけじゃない撮影を経験して、恥ずかしさもなくなって、自分らしい写真を撮っていただけるようになったと思います。

──自分で撮られ方を変えていこうと思ったとか?
それもあります。「あの撮影、どうだったかな」と掲載された誌面を見たときに、他のメンズノンノモデルたちは企画によって、穏やかな雰囲気を出していたり、クールに演出していたり表情を変えていて、自分だけ同じような顔ばかりに見えて、これはよくないなと。読者の方たちも、新しく雑誌が出て読んだときに、モデルがいつも同じような顔で服装が変わっているだけだったら、全然面白くないじゃないですか。僕もみんなのように、「読む人たちの気持ちを企画のテーマに合わせて変えさせたい!」って思って、撮影スタッフの方たちと相談して、ときにモードっぽくしたり、笑顔を入れて柔らかくしたり、柔軟さを身につけようと考えました。
──冨永くんが魅力的に写っていたのは、そういう熱い気持ちがあったからなんですね。最初は内気でクールな青年だと思っていたけど…(笑)。
専属モデルになりたての一年半前は、けっこう生意気だったんだろうなって自分で思いますね(笑)。

──そうなんですか?(笑)
当時のオーディションを担当していたスタッフさんに「あのときはちょっと生意気だったよ」って言われるんで(笑)。僕も自覚があるから、「そうですよね。すみませんでした!」と謝ったり。昔に比べたら、僕、変わりました。大人の礼儀を覚えました(笑)。
──(笑)。自然体で飾らない冨永くん、すてきですよ。
6月から海外へ。
モデル冨永章胤の新章スタート!

──いまみたいな20歳になると想像していましたか?
全然! 昔は、「将来はマジでひとりぼっちなんだろうな」と思っていました(笑)。人見知りなので積極的に話すこともできないし、話しかけてもらわないと話ができないし、私生活では部屋で趣味のゲームをするのが好きだし、きっと孤立した人生を歩むだろうなと思っていて(笑)。でも、現実では周りの人たちに恵まれて、『メンズノンノ』でも編集部のみなさんやスタッフの方たちとも仲良くさせていただいて、「俺、よかった」って安心しています。
──そう思っていたなんて、なんか意外!
やっぱり同期の存在が本当に大きかった。友達にも恵まれて、外に出られてよかったです(笑)。それも、モデルの仕事を始めてよかったと思う理由のひとつですね。もし時間を巻き戻して16歳の自分に現状を伝えに行ったら、「え? まじ? 俺、こうなってんの?」って、驚きながら安心していると思います(笑)。

──すごくいい話。どんな大人になりたいと思う?
落ち着いた人になりたいですね。余裕がある大人というか。経験をもっと重ねたら手に入るかもしれないと思っているので、いまは目の前のことをただがんばってやりたいと思います。がんばらないと、好きなゲームをする時間もつくれなくなっちゃうし(笑)。
──20歳を迎えて、今年始めたいことはありますか?
メンズノンノモデルを卒業する理由にもかかわることですが、次のファッションウィークが始まる今年の6月からパリ、ミラノに行きます。

──おおお!
海外で活動するにあたり、ヨーロッパのエージェンシーと契約できたので、本格的に準備や練習を進めています。ショーモデルのオーディションを受けまくってパリコレを歩けるかどうかが、今年のひとつの大きな勝負です。そこが僕の新しいスタート地点になると思います。ここからどうなるかはわからないけど、途中で挫折するつもりはありません。
──編集部全員で応援します! 冨永の理想のモデル像は?
モデルの仕事をしていて、母親(冨永愛さん)の名前がついてくることは当たり前で、「あいつ、冨永愛の息子だよね」ではなくて、「あいつ、冨永章胤だよね」と、母親を超えて自分の名前でショーやランウェイに立てるモデルになりたいです。メンズノンノモデルに入った当初のインタビューでもお話したと思いますが、その気持ちは変わらず持っていたし、さらに強くなったので、実現するために海外のランウェイにも本気で取り組みたいと考えました。「もうやるしかない」と思ったんです。
──“モデル・冨永章胤”の未来を楽しみにしていますね。
はい。また成長して『メンズノンノ』に出られたらうれしいです!
冨永章胤|AKITSUGU TOMINAGA
2005年3月27日生まれ、東京都出身。22年よりモデル活動をスタート。23年に、第38回メンズノンノモデルオーディションでグランプリを獲得し、専属モデルに参加。本誌の他、国内外のファッション誌やショーで活躍する。25年6月から拠点を海外に移す。
公式Instagram:https://www.instagram.com/akitsugu.t/
ジャケット¥489,500・タンクトップ¥70,400・パンツ¥190,300・靴¥209,000/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン
Model:Akitsugu Tominaga Photos:Shuhei Tsunekawa[SIGNO] Hair & Make-up:NOBUKIYO Stylist:Yoshiaki Komatsu Interview & Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]
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