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「どうして周りに合わせるんだ。自分の歩き方を探せ」――ロビン・ウィリアムズ演じる型破り教師の言葉が何度でも響く『いまを生きる』/鈴鹿央士の偏愛映画喫茶vol.48

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鈴鹿央士 連載 鈴鹿央士の偏愛映画喫茶 
発表

 

実はこの作品、前回紹介した『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』と、かなり重なる点が多いんです。どちらも寄宿制の名門男子校が舞台で、クリスマス前後の冬が背景で。先生と生徒の物語であり、なおかつ彼らが交わす会話や飛び出す言葉がとっても面白いんです。やっぱり僕が惹かれる作品には、一定の法則がありますよね(笑)。

鈴鹿央士 おすすめ 映画
映画「いまを生きる(DEAD POETS SOCIETY)」ブルーレイ

『いまを生きる』
ブルーレイ発売中
発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン
発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング
デジタル配信中(購入/レンタル)
発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2025 Buena Vista Home Entertainment, Inc.


E・ホークにR・ウィリアムズ。
僕の“好き”や“気になる”が
『いまを生きる』につながった

昨年の夏から秋頃に、イーサン・ホークさんが机の上に乗って「キャプテン、マイ・キャプテン!」と叫ぶ映像がSNSで流れて来たんですよ。現在のイーサンがかの有名な名場面を観ている動画で、コメント欄の「この映画を観て自分は教師になりました」等々を読んで、そんな風に人に影響を与える映画なんだな、と余計に観たくなりました。

同時に、丁度その頃に僕がお稽古していた舞台『リア王』の演出家から、「モーメント・トゥ・モーメント」と、まさに「今この瞬間を生きろ」ということを言われていたんです。そんなことも重なる中で本作を観たら、すごく良くて感動しました。「これだ!」ってビビッと来た感じ。本当に「今を生きる」って、とても大事だなと思って。

俳優・鈴鹿央士の偏愛映画喫茶「いまを生きる」場面写真2
写真:AFLO

 さらに以前、ここで紹介した『ブルーに生まれついて』で主人公のチェット・ベイカーを演じていたイーサン・ホークさんが、本作では生徒の一人を演じているんです。また、これも紹介した『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』でマット・デイモンさん扮する主人公を導く心理学の講師を演じていたロビン・ウィリアムズさんが、本作では名門男子高生たちの“先生”を演じています。そんな風に僕の“好き”や気になることが色々と繋がっていて、本作には運命を感じました。

本作の舞台となるのも、<アメリカ合衆国で最も優秀な学校の一つ>という寄宿制の男子高です。そこへ、イーサン演じるトッドが転校してくるところから始まります。最初は、イジめられるんじゃないかという、“大丈夫か?”って空気を微妙に感じましたが、蓋を開けてみたら個性豊かな5、6人と悪友のように仲良くなって。

     

「どうして周りに合わせるんだ。
自分の歩き方を探せ」
キーティング先生の言葉は発見の連続

その学校へ赴任してくるのが、ロビン・ウィリアムズさん扮するキーティング先生です。厳格な学校で四角四面なことばかり教えてきた他の先生たちと違って、ものすごい型破りな人というか、キーティング先生の教え方にも最初は生徒たちみんなが驚いていました。

でも観ながら、「こんな先生いたらいいな」って僕はなりました。確かに最初の頃、詩を教える授業で、「詩とは何たらかんたら」と解説が書かれている教科書を、いきなり「破れ! 破り捨てろ!」と生徒たちに言って、本当に破らせていたのには僕も驚きましたが(笑)。キーティング先生のように、あんな面白い教え方をされたら、そりゃ高校生の男子だってみんな興味を持って学びたくなるなって思いました。

しかも英語(つまり国語)教師なのに、生徒たちをグランドに連れ出して、熱血教師みたいに言葉と共にボールを蹴らせたりして(笑)。ただ机に座って教科書を読んで暗記を強いるような授業じゃなくて、体で覚えて、自分で考える力や自主性を伸ばそうとする、それがすごくいいなって。

中でもトッド(イーサン・ホーク)が詩を発表するシーンが、強烈に印象に残っています。なかなか言葉にできないトッドに目隠しして、問い詰めながら言わせるというか。トッドの中から魂の叫びみたいな言葉が出てきた瞬間は、もう震えました! その絞り出されたような詩が、またメッチャメチャ良くて。そのシーンからも、言葉と魂だけでなく体とも繋がってるんだな、ということを感じさせられました。

またある時は何人かを一斉に歩かせてみたりして。それぞれ自分独自の歩き方があるはずなのに、なぜ(周りに)合わせてしまうのかとか、なぜ手拍子をしてしまうのか、と問うんです。それはつまり誰かと群れたいとか、人と合わせたいといった欲求があるからではないか、一緒になって安心したいだけじゃないか、と。「どうして周りに合わせるんだ。自分の歩き方を探せ」など、キーティング先生の言葉に、「そうだな、すごいな」と僕自身も色々と発見がありました。


     

寄宿舎で暮らす生徒たちの
キャラクターがみんないい。
友情もバカさも。でも...

仲良くなった悪友たちのキャラも、みんないいんですよね。優秀な寄宿制の学校というから最初は、すごく規律を重んじるメチャ真面目な学校かと思ったら、一歩寄宿舎の中に入ったら、「やっぱ男の子だな」という感じなのも良くて(笑)。タバコも匂いですぐバレちゃうじゃん、とか思いつつ、あのハッチャけた感じがすごく良かったです。男の子たちの真っ直ぐなバカさは、やっぱり見ていても楽しいんですよね(笑)。

特に同室のニールとトッドは、一番仲良くなって。自分にまるで無関心の親から、2年連続で同じクリスマスプレゼントを贈られたトッドが落ち込んでいるときも、「同じものがもう1つあるなら、捨てちゃおうぜ」と言って、水の中に一緒に投げ捨てたり(笑)。「どうせ来年も、また同じものをもらうよ」と。気持ちを分かって一緒にふざけてくれるというか、僕も見ながら思わずワクワクしちゃいましたが、トッドも本当に救われただろうな、と思いました。そんな風にニールって、すごく優しいんですよ。

俳優・鈴鹿央士の偏愛映画喫茶「いまを生きる」場面写真3
写真:Everett Collection/アフロ

でもそのニールのお父さんが、とにかく厳しくて圧が強い。だからこれまで、ニールはお父さんに言われるがままに医者を目指してきたんです。でもキーティング先生の詩の授業や、自由な発想や自主性を育てる先生の教えなどの影響もあって、ニールは自分が本当にやりたいことを見つけてしまう。どうしても“芝居”がやりたいんだ、って。けれど、ニールのお父さんが許してくれるハズもなくて......。

     

どっちの人生が良かったのか。
決してスッキリさせてくれない
複雑な後味に考えさせられること

そうして、遂にある悲劇が起きてしまうのですが、その期に及んでもニールの厳格過ぎるお父さんが酷いというか、本当に嫌でしたね。『ホールドオーバーズ』にも“罰”というか脅しのように登場しましたが、言うことをきかなければ士官学校みたいなところに10年入れるだなんて。劇中でも、「そんなの終身刑だ」と言っていましたが、17歳前後の男の子にとっての10年って、大人の10年とは比べ物にならない貴重な時間じゃないですか。ニールの気持ち、本当に分かるなって......。

俳優・鈴鹿央士の偏愛映画喫茶「いまを生きる」場面写真4
写真:Mary Evans Picture Library/アフロ

しかもニールの父親は、すべてキーティング先生のせいにしようとする。確かにキーティング先生に出会わなければ、ニールは父親が敷いたレールの上を歩いていただろうし、描かれる“悲劇”には見舞われなかったかもしれない。自分の情熱に気付くことも目覚めることもなかったかもしれないですよね。でも人生を終える時、人生に対する後悔は残っただろうなって。どっちの方がいいのか、すごく複雑な後味が残りました。

本作の時代背景は59年で、『ホールドオーバーズ』の70年代よりさらに時代を遡っているので、漂う空気も違いますが、ニールの家庭環境はやっぱキツいなぁ、と思いました。先生の決断や処遇も、『ホールドオーバーズ』のそれと重なって、すごく考えさせられました。心の中で「あの父親は成敗されるべきだ」なんて思ったりしたけれど(笑)、そんな終わり方だからこそ、心に色々なことが残るのかもしれないな。でも僕としては、正直もう少しスッキリしたかった! 体制には抗えない、正義は握りつぶされるのが大人の世界というか。そんな時代や現実を描くことに、メッセージが込められているのかな、と。

     


全編に散りばめられた言葉を
自分はどう汲み取るのか。
もう一度観て嚙み締めようと思う

互いに思い遣ったり共感したり、バカな騒ぎを起こしたりする友情物語も良かったですが、やっぱり数々の“言葉”も素敵でした。先生が「なぜ詩を読むのか。それは人間だからだ。詩、美しさ、ロマンス、愛は我々の生きる糧だ」と、有名な“詩”をよく引用するのですが、全編にちりばめられた言葉たちがステキでしたね。

だから、詩なんかまるで興味なさそうな男子たちが「詩の会」みたいなものを作って、どんどんその世界に入っていくのも良くて。その会合を寮の一室でやればいいものを、わざわざ獣道みたいなところを通って秘密基地みたいな洞窟に行って活動するところとか、少年たちの冒険感も漂って、楽しくてワクワクしました。先生の言う「生きることの真髄」とか「今を生きろ」という言葉は、僕にもメッチャ響きました。

写真:Moviestore Collection/AFLO

そうして最初に話した、イーサン・ホークさん扮するトッドが机の上に立って「キャプテン、マイ・キャプテン!」という名シーンに繋がっていくのですが、何人くらいの生徒が立つのか立たないのかも含めて、本当に色々なことを感じさせる名シーンだと思いました。

観終えた後、「これは何度も観ないとな」と思わされて。いろんな言葉を、どう汲み取るかで感じることも違うだろうし。少し時間を置いてもう一度観て、一つ一つの言葉を、ちゃんと噛みしめたいですね。

前回の『オールドオーバーズ』と併せて本作は、ステキな言葉と優しさをもらえる映画として、人肌恋しくなる冬にこそ観て欲しいなと思います。


     

男の子たちのファッションが、なんか可愛いんですよ。例えば、みんなで洞窟に行く時に、黒魔術師みたいなフードを被っていたのですが、その姿もすごく可愛かったですね。その下はみんなパジャマを着ているのですが、なぜか揃ってネル生地のチェック柄で、どこかあどけない感じもして、それもとっても可愛かったです。

いろんなポイントでいろんなことに繋がりを感じた本作ですが、好きな俳優2人が特にやっぱり印象に残っています。

『ブルーに生まれついて』では、トランペットを吹いて口から血を流していた40~50代の渋いイーサン・ホークさんが、まだ10代の初々しい少年を演じている姿に驚いて。まるでピカピカの一年生みたいな印象というか(笑)。若い頃にしか出せない「青さ」みたいなのが眩しくて。今、僕は25歳になって、そういう少年特有の“青さ”が出せるか出せないか微妙な感じになってきたのを感じるというか。もちろん僕はまだまだペイペイだけど、下の世代がどんどん出てきて、彼らのフレッシュさを目の当たりにすると、ちょっと羨ましかったりするんですよ。そんなこともあってトッドの青さを見ながら、22、23歳に戻りたいなって思いました。

対してロビン・ウィリアムズさんは、どのシーンも本当にあったかい感じがして、人生の先生のように感じました。コメディからシリアスまでふり幅が大きくて、そのギャップも大きくてロビンさんには驚かされるなって。本当に人間の温もりを感じさせてくれる、メッチャ好きな俳優さんです。

『いまを生きる』
作品情報&あらすじ

『いまを生きる』1989年/128分/アメリカ

1959年、アメリカの全寮制の名門高校に、同校OBの英語教師ジョン・キーティング(ロビン・ウィリアムズ)が赴任する。彼の自由で型破りな授業に生徒たちは戸惑うが、次第に彼に触発されて自主性や自分らしさ、自由な生き方に目覚めていく。中でもニール(ロバート・ショーン・レナード)やトッド(イーサン・ホーク)らは、「詩の会」を結成して詩や人生を自由に語り合うように。そうして自分が本当にやりたいことを見出していくが、思いも寄らぬ悲劇が起こる――。監督は、『トゥルーマン・ショー』などのピーター・ウィアー。第62回米アカデミー賞で脚本賞を受賞。

写真撮りたい欲”が最近また増しまして、いろいろ試しています。ですが......お気に入りのカメラの調子が悪くなってしまって、その修理待ちでもあります。
基本はフィルムで撮りますが、デジタルで撮ってみたりもして、いろんなことに対応できるように頑張ってます。
また皆さんにお見せできるように撮り溜めておきますね!

Text:Chizuko Orita

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