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マユリカ・中谷の漫画レビュー!「圧倒的リアリティ。“ご都合主義”なしで描くヒグマ猟の世界『クマ撃ちの女』」

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「圧倒的リアリティ。“ご都合主義”
なしで描くヒグマ猟の世界」

『クマ撃ちの女』安島薮太(新潮社)

『クマ撃ちの女』1巻〜15巻
安島薮太(新潮社)

北海道を舞台に女性猟師・小坂チアキが、“日本最強生物”とされるヒグマを追う物語。射撃に造詣が深い佐藤一博氏監修による専門知識も掲載されている。WEBマンガサイト『くらげバンチ』にて連載中。

 

マユリカ・中谷のマンガは、ずっとトモダチ

以前、狩猟免許を持つ先輩芸人のよじょうさん(ガクテンソク)と銃や狩りの世界について話したんです。その中で特に印象的だったのが、猟師にとってもクマは本当に恐ろしい存在だというお話。門外漢の僕でもその恐怖に少し共感できたのは、『クマ撃ちの女』を読んでいたからです。

作品の主人公は、女性猟師のチアキ。とある出来事をきっかけに北海道でヒグマを追うのですが、その情熱が凄まじい。漫画的な“ご都合主義”がない大自然の中で、あらゆる脅威に何度も晒されながら、狩りを続けるんです。読み進めていくうちに、そのひたむきさに惹かれていくはず。もうひとりの主人公であるライターの伊藤も情熱的な人物です。狩猟未経験にもかかわらず、取材対象のチアキを追い続け、彼女に「伊藤さんが死んでもいいからクマが撃ちたい」と言われてもひるまずに、取材したい気持ちが勝つ。まるで、彼もチアキを追うハンターなのかなと思いますね。

自然の脅威にリアリティを持たせているのが、ずばり背景。山林は植物が生い茂っていて、読みやすいように描くのが大変なんですが、写実的に描く・省く部分のバランスが絶妙で情報がすっと入ってきます。

あとは、狩猟の後に登場する肉料理やラーメンがまぁおいしそうなのも印象的! 絵で温かさや柔らかさを表現するのは難しいのですが、シズル感の表現が本当にうまい。恐ろしい体験の後は、さぞ染みるんやろうなと、僕までお腹がすいてきます。

ところで僕、今度北海道で仕事なんです。場所は都市部だし、よじょうさんも「クマと会うことはほぼない」と言っていたけど、この作品を読んでから少し怖くて。でも、そんなふうに知らないことへの想像力が高まるのも、漫画の魅力だと思うんですよね。

 

漫画『クマ撃ちの女』より、チアキとヒグマの遭遇シーン。

©安島薮太/新潮社

チアキとヒグマの遭遇シーン。写実的な描写が緊迫感をあおる。

 

Nakatani

Nakatani

2011年に相方の阪本と、お笑いコンビのマユリカを結成。ポッドキャスト番組『マユリカのうなげろりん!!』が大人気。自らも漫画を描いており、『シャンプーハット』が小学館新人コミック大賞の佳作を受賞。

 

Text:Koki Yamanashi

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