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なぜ今“芸人ラジオ”がここまで注目を集めるのか? その理由に迫るべく、 人気の音声コンテンツを手がける3名のプロデューサーが語り合う!
玄石 石井 玄・ラジオ関西 神吉将也・
GERA 横田早紀が特別鼎談 !
芸人ラジオがつくる“沼”の正体


株式会社「玄石」代表
石井 玄
『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』の立役者で、本誌連載でもおなじみ。

ラジオプロデューサー
神吉将也
2016年、ラジオ関西入社。その後プロデューサーとして『マユリカのうなげろりん!!』をはじめ、人気番組を多数担当。

GERA総責任者
横田早紀
2021年にGERAへ入社し、『囲碁将棋の情熱スリーポイント』などを担当。2024年よりGERAの総責任者に就任。
芸人のパーソナルな部分を
知りたいという欲求を満たしてくれる
石井 「間違いなくPodcastは立役者。欧米で2018年頃から人気になり、日本でも2019〜20年頃に注目が集まった印象。ちょうど『GERA』が立ち上がった頃ですね。さらにここ1年で“音声コンテンツ、来るぞ”とより言われるようになってきているように思います」
神吉 「芸人さんではやっていない人のほうが少ないぐらい、音声コンテンツをやるのが当たり前に。僕がラジオ関西に入った10年前は、放送局で冠番組を持ってなんぼみたいなところがあったように思いますが…。例えば、ニューヨークさんはYouTubeで『ニューヨークのニューラジオ』を配信していますよね。そういった芸人さん発信のコンテンツがリスナーの裾野を広げ、内容の面白さに他の芸人さんも触発され…。“PodcastであれYouTubeであれ、反響を呼べればいい”という感覚で気軽に始めている人が多い」
横田 「フットワーク軽く個人で配信を始められるというのもあり、まずはやってみようというマインドが広がっているように思います。“チャンネルやコンテンツを持つのが当たり前”という考えが浸透してきたことが、近年の盛り上がりの土台になったのかも」
石井 「芸人さんにとってしゃべりって根幹。映像でネタを見せることも大事ですが、トークで人を笑わせることが彼らの本分。それを存分に発揮できるメディアがラジオなのだと思います。トークを通じ人柄や素が見えるところも魅力かなと」
神吉 「同感です。僕が携わる芸人さんの番組は、絶対にトークを軸にしています。芸人さんの素のしゃべりが一番面白い形で届くことが理想。トークが面白いほうに展開するように企画を調整することはありますが、主役はあくまでご本人という気持ちは常にあります」
横田 「芸人さんの素の部分が存分に出るラジオやPodcastは、彼らのパーソナルな部分を深く知りたいという、お笑いファンの皆さんの欲求を満たす優れたメディアだと思っています」
Podcastは制作スタッフが
少ないからこそ、より濃い話が生まれる
石井 「トークの密度でいうと、Podcastにおいては作り手が少人数だから、話の内容が濃くなる部分もありますよね? 自分たちが普段面白いと思っているしゃべりが存分にできる、というか」
神吉 「確かにそうですね」
石井 「キー局がやっている長時間のワイド番組だと、スタッフは最低でもひと番組あたり4〜5人。曜日をまたぐと10人以上になることも。一方でPodcastの場合は1~2人で回しているところが多い。3人いればかなり恵まれた環境だと思います」
神吉 「少人数だからこそ、気心が知れている仲間をまず楽しませようというスタンスになるんでしょうね。いい意味でわかる人にしかわからない共通言語がトークの中に増えていき…。僕は制作側ですが、収録中は横で会話を盗み聞きしているような気持ちに。リスナーとほぼ同じ感覚(笑)。コンビ2人だけの空間に、自分も入って内輪ウケを楽しむ気持ちでいますね」
石井 「なにより、楽しく話している人の話を聞くのが楽しいもんね」
横田 「そうですね。変に難しいことを考えたり、取り繕ったりせず自然体でしゃべれる場を提供できている実感があるとこちらもうれしくなります…話が盛り上がりすぎた結果、泣く泣くカットすることもありますが(笑)」
神吉 「(笑)。僕は紅しょうがさんのPodcastを担当しているのですが、ツッコミの稲田(美紀)さんはテレビだと何でもズバズバとはっきり言っていて、それが怖いイメージで切り取られがちなんです。でも、番組のYouTube配信のコメント欄を見てたら、“稲田さんってこんなに笑うんだ”“印象が変わった”みたいな反応があって。熊元(プロレス)さんもテレビではぶっとんだことばかりやってますけど、ラジオでは真面目な一面がうかがえたり、と他のメディアや舞台とはまた違った一面が垣間見えるのもラジオの魅力なのかなと」
石井 「YouTubeでバズらせようとしているわけでもなく、お客さんの前でネタをやってるわけでもない。表ヅラを取り繕わないですからね。その場限り、かつ素が見えるトークをしているところに近い距離感を感じてファンになってくれるんじゃないかな」
横田 「今お話しいただいたこととアプローチは違いますが、GERAはリスナーの皆さんのアプリ内課金が資金源。なのでリスナーの満足度を高めることを大切にしています。そのひとつが、メール募集などを通じた“リスナー参加型”の企画。個人的にも、番組コーナーはお笑いラジオの醍醐味のひとつだと思っていて。リスナーが番組に参加できる余白をつくることは意識しています」
神吉 「メディアの特性が違えば、当然つくり方も変わりますよね」
石井 「ラジオ局の番組は、リスナーを増やして広告を打つというビジネスモデル。地上波では偶然耳にする人もいるので、“通りすがりの人が聴いて面白いと思うものをつくりなさい”という考え方になるんです。対してPodcastのリスナーは明確に芸人さん目当てで聴きに来る。だからコア向けと割り切ってつくれるし、結果個性のあるコンテンツになり話題になることが多い。地上波でもこうしたコア向けのつくり方に挑戦する例は増えていますが、もともとの特性は違いますね」

リアルイベントはファンの
想いが詰まった亜空間と化す
横田 「ラジオやPodcastはある意味ファンクラブに近い存在だと感じています。“私はGERAまで聴いて、情報を仕入れている。本人の好きなものを理解している”っていう。いちリスナーだったときの私もそうでした(笑)。実際、リスナーに対し“GERAまで聴いてくれている=熱量を持って応援してくれている”という印象を抱く芸人さんも多いです」
石井 「それって音声メディアならではの“聴き始めるハードルの高さ”があるからこそ、生まれる意識だよね。僕らとしてはハードルを高くしているつもりはないけれど(笑)。素のトークを長時間聴くって結局その人のことが本当に好きじゃないとできない」
横田 「そうですね。でもこのほどよいクローズド感があるからこそ芸人さんとリスナーが全力で楽しめる場になっているとも言えるかなと」
神吉 「ファンクラブの話に近いですが、リアルイベントもまた、ラジオとの親和性が高いと感じています」
横田 「それは、石井さんが手がけられた『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』(番組開始15周年を記念し、2024年に行われたライブ。漫才や番組おなじみのコーナーに約16万人のリスナーが熱狂した)で証明しきられたわけですが(笑)」
石井・神吉 (笑)。
横田 「東京ドームのイベントをやって、芸人さん、そして芸人ラジオのすごさを再確認されたのでは?」
石井 「リスナーが『本人たちが本当に生でしゃべってるの?』みたいな感じで確認しにきているのはドームクラスの規模でも感じました(笑)。加えて、それを通して自分の半生を振り返ってる方も多いように思います。みんな週に1回、継続的に番組を聴きながら、日々起きる人生のイベントを同時進行しているわけです。就職や結婚、子どもが生まれたとか。だから番組の集大成であるイベントが“このとき自分はこんなことしていたなぁ”と走馬灯のように人生を反芻するきっかけになりうるんです。そして同じようなことを考えている他のたくさんの人と時間と空間を共有する。僕はいつもライブイベントの場って亜空間化していると思っていて。人々の想いが強烈に詰まっているからか、雰囲気がいい意味でちょっと変なんですよ(笑)」
横田 「私もこのイベントには伺いましたが、確かに熱量がすごかったです。“自分と同じような人間が、こんなにたくさんいるんだ”という安心感と、みんな同じ内輪ネタでわっと笑って、トークのときは静かに耳を澄ませて聴くという一体感は心地いいですよね。リスナーだからこそ最大限に楽しめるイベントの形に感動しました。今年の4月、我々も開設5周年を記念した『GERA FES – GERA 5th Anniversary』を開催したんです。リスナーの喜ぶ顔を見て、やってよかったと思いました」
神吉 「すてきですね。僕も全国で開催中の『マユリカのうなげろりん!!展 in イオンモール』をはじめ、リアルイベントは何度か経験しているのでお二人のお話に共感しました。普段、リスナーの存在は視聴数など数字でしか見られないから、実際にリスナーの楽しそうな顔を見ると励みになりますよね。リアルイベントが話題になり、また新しいリスナーにつながることもうれしい」
石井 「芸人ラジオはまだまだ盛り上がるし、未来は明るいってことですね(笑)」
神吉・横田 「はい!(笑)」
芸人ラジオを聴き始めるなら?
入門者のためのアプリナビ!
ラジオのライブ感に 触れたいなら…
radiko
自分が今いるエリア内のラジオ局の過去7日間の番組が無料で聴ける。全国の番組や過去30日間の番組が聴けるプランも。
ディープな芸人ラジオが盛りだくさん!
GERA
話題&注目のお笑い芸人に特化した番組を一部無料で配信。各番組のメンバーシップ限定コンテンツ(※有料)も必聴!
若手芸人がこぞって参戦!ラフでゆるい番組が魅力
stand.fm
芸人メインのオリジナルコンテンツに加え、気軽に音声の配信ができることから若手芸人の自主制作ラジオが充実!
ディープなラジオ活を深めたい!
Artistspoken
有料会員限定で音声を展開(一部無料公開)。ラジオ好きの間では「クローズドな分、より深い話が聴ける!」と話題。
プロデューサーたちの推し番組
特集内アイコン早見表
同特集内では番組が配信されているプラットフォームの早見アイコンを採用。ぜひ実際に聴く際の参考に!
横田早紀セレクト

とろサーモンの 冠ラジオ枠買ってもらった。
第1・3・5金曜22時にShibuyaCross-FMから配信。とろサーモン・久保田の冠ラジオに毎回ゲストとして中山功太が出演する。
「観覧のお客さんの反応を見ながら展開していく、ニッチすぎず、でもお二人らしい尖りが冴えるトークが面白すぎる」

スタミナパンの もっちりパン教室
毎週水曜20時配信。M-1グランプリやダブルインパクトなど賞レースで話題を呼ぶスタミナパンが送る、お笑い漬けの40分!
「GERAらしいリスナー巻き込み型のラジオ。毎週届くネタメールは300通超え! 大喜利好きはぜひ聴いてほしいです」
神吉将也セレクト

三遊間のMBS ヤングタウンNEXT Podcast
毎週木曜21時配信。三遊間(稲継・さくらい)がレギュラー化をかけ、圧倒的熱量で繰り広げる掛け合いで人気を博している。
「さくらいさんが30分アクセル全開でしゃべり、稲継さんがずっと少しズレている。大注目のnextラジオスター」

例えば炎のあ、エレガンス
毎週金曜23時頃配信。2024年のM-1グランプリ敗者復活戦で注目を集めた例えば炎が時間制限に縛られず自由に語り合う。
「“ギリギリ素人”という異名を持つ彼らの自然なトークは伸び代しかない。さらに跳ねていくだろう2人を見届けたい」
Photos:Ibuki Tamura Interview&Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]
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