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『遠い空の向こう』という映画で知った、ジェイク・ギレンホールさんという俳優が一時期とても好きで、出演作を色々と観ていました。『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』や『ナイトクローラー』など、観る作品ごとに「ジェイク・ギレンホールって、スゴイじゃん!!」となって。その流れで“ジェイク・ギレンホールの一人芝居”と謳われているこの作品、『THE GUILTY/ギルティ』も観たんです。そうしたら、もう中盤から終盤にかけての展開にメッチャ衝撃を受けました。「え、そっち!?」って。


「Netflix映画『THE GUILTY/ギルティ』」独占配信中
電話での会話だけで繰り広げられる、
ドキドキハラハラのサスペンス!
ポスタービジュアルで耳にマイクをかけている姿を見たことはありましたが、“ジェイク主演の映画”という以外、全く何も知らない状態で観ました。彼が演じるジョーは、緊急通報センターのコールオペレーターとして働いているのですが、元々は事件現場で捜査をする警察官だったことがだんだんとわかって来ます。彼がなぜここで働いているのかな、と思いながら最初は観始めました。
ある日ジョーは、誰かに車で拉致されているらしき、取り乱した声のエミリーという女性からの通報を受けます。ジョーはどうにかして助けようと、少しでも情報を聞き出そうとするのですが、電話が切れてしまって……。隙を見てまたかかって来て、少しずつ情報を得て推理して、拉致したのは夫であることや、幼い少女と赤ちゃんが家にとり残されていることなどがわかって来ます。そこでジョーは遠隔操作で、警察や元の同僚警官を動かそうと訴えるのですが、必死で助けようとすればするほど、職務上の一線を越えてしまうし、ジョー自身が段々と常軌を逸して来てしまうんです。
やっぱジェイク、スゲェ~と、もう圧倒されました。“緊急コールセンター”内で電話を受けるというワンシチュエーションで、その外で起きてることを全部ジェイクの言葉で想像させていくのですが、普通、できんですよ、そんなこと! しかもジョーには時々狂気がスッと入り込んでくるような瞬間があって、観ていて“(おかしいのは)どっちなんだろう!?”とハラハラしてしまって。今にもキレそうな彼の「怒りそうだな、あれ、怒らないんだ?」という様子にもハラハラするし、すべての瞬間、お芝居で惹きつけられるって、本当にスゴイなと思いました。
他の作品でも感じたことですが、やつれたり疲れたりした時の「……」。沈黙するとか、言葉も出ない、という感じが、本当に「“その人”そのもの」なんです。本作も、ほぼ一人芝居で1人でずっと物語を進めていくのに、ずっと観飽きないんです。画としてその人をずっと観続けられるなんて、羨ましいというか……。そう思うぐらい演技が本当にスゴイな、いい役者さんだな、と改めて思いました。
人を助けたいがために、どんどん
イライラを募らせる主人公(と観客)

もちろんジョーは、「人を助けなければ」という思いがあるからこそ必死になっている。でもだんだんとジョー自身が、警察官として捜査をしていた時に“罪に問われるような事件”を起こしてしまって、家族が離れていって独りぼっちの状態だということもわかって来ます。離婚したのか単に別居中なのかは定かではないのですが。僕はもう最後まで完璧に騙されましたが、だんだん何が正義かがわからなくなってくるんです。
何か正義なのか? 最後に待ち受ける
超一級のどんでん返し
だからエミリーが、状況がガラっと変わって見える“ある発言”をした瞬間、ガーンと打ちのめされて、“ちょっと待てよ、どういうことだ?”って、動画を一時停止してしまいましたもん(笑)。それくらいびっくりして一瞬、頭が真っ白になります。僕ら観ている側としては、必死でエミリーを助けようとしているジョーの目線で物語を観るので、「とにかく早く助けなきゃ!」って方向に、脳みそがどんどん作られていっちゃう。一緒に必死になってしまうというか。だから相手がちょっと電話に出るのが遅いことにも、一緒にイライラしてしまったり。まんまジョーに感情移入して観ちゃうから、その分、真実が分かった時のショックも大きいんです!
ただ、一生懸命に人を助けようとするジョーに共感したり、彼と同じ視線で物語を観てはいますが、とはいえ彼って隣の席の大きな体の同僚に向かって暴言を吐いたりして、結構人当たりがキツいんですよ。僕にはない性格だな、と(笑)。何か悩みや問題を抱えているのはわかるけれど、その沸点がすごい低い人に見えました。しかも思った以上にものすごい過去を持っている(笑)。少し引いてみると、取り乱していたエミリーとどこか同質なものを持っているのかなとも感じました。自分がワ~ッとなったら理性を失って、そのまま行動を起こして止められなくなってしまう。しかも自分ではいいことをしていると思い込んでいる姿に、人間の怖さを感じました。そのあたりも上手い、見事にしてやられたな、と思いました。

色んな俳優で観てみたい
リメイクの成功例。日本版もぜひ!
本作の何が上手いって、信じ込ませる力ですよね。もちろん脚本の上手さもあるし、やっぱりお芝居の上手さもあるし。ジェイクはもちろん、エミリーの声のお芝居も上手い。でもこの作品って、チャレンジングと言えばチャレンジング。かなり長い時間を掛けて、物語の“本当のところ”を全く見えないままにするわけですから。本作はデンマーク映画のリメイクですが、もし日本版を作ったら面白いだろうなって。色んな人のバージョンを見てみたいですよね。そうしたら、もちろん僕もやってみたいです。
監督は、『トレーニングデイ』『エコライザー』など、アクション専門のイメージが強いアントワン・フークアさん。本作ではアクションゼロですが、それなのに、アクション映画を見た後のような高揚感を与えてくれる。これでこの作品にハマらない人はいない気がします。すごくハラハラしたし、わりと疲れました(笑)。しかも、僕も全く気付かなかったのですが、イーサン・ホークさんをはじめ、有名な俳優さんたちが声の出演をしているらしくて。それを知ると、もう一度見直してみたくなりました。


色んな展開にすべて驚かされましたが、特にジョーがエミリーにレンガを持たせて、拉致した旦那さんを殴れと言ってからがスゴかったですね。僕らは声だけしか聞いていなくて、それが映像で映し出されることはないのですが、後から振り返ると“あのシーンって映像で観たよな”と思ってしまうんですよ。音でしか入って来ていないのに、映像が想像できてしまう。だから観た気になっちゃうんです。レンガ以降のシーンが、自分の頭の中に映像として残っているんですよ。他のシーンも含めて、本当に映像として映されていたものなのか、自分の想像で思い描いたものなのか、わからなくなってくる。脚本というか言葉の力、そして俳優さんの力で、観ていないはずの映像を記憶させてしまうって、やっぱりスゴイなぁと思います。

『THE GUILTY/ギルティ』2021年製作/91分/アメリカ
電話から聞こえる声と音だけで誘拐事件に挑む緊急通報指令室のオペレーターの奮闘劇で、高い評価を得た同名デンマーク映画を、アメリカを舞台に移してリメイクしたサスペンススリラー。緊急通報センターに勤めるオペレーターのジョー(ジェイク・ギレンホール)は、女性エミリーから助けて欲しいと通報を受ける。どうやら彼女は何者かに拉致されたらしい。ジョーは、電話から聞こえてくる声と音だけを頼りに、彼女を助けようとするが……。監督は『トレーニング デイ』『イコライザー』のアントワン・フークア。エミリー役にはライリー・キーオ。他にイーサン・ホーク、ピーター・サースガード、ポール・ダノらが声で出演。




寒くなってきて、より一層お風呂の時間に幸せを感じるようになってきたこの頃です。
最近、泥の入浴剤をいただいて、それを使ってます。ミネラルとかたくさん入っているらしくて、体によいと。お風呂に浸かっている時間もそうやって健康にいいことができると嬉しいですよね。
冬に向けて部屋も模様替えしますかね! それではまた〜。
Text:Chizuko Orita
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