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「“名作漫画の条件”を満たす、
脱力系能力バトル」

『パラショッパーズ』1巻~
福地 翼(小学館)
超能力を売買できるアプリ「パラショップ」を手に入れた高校生・天良木と、個性的な能力者たちによるバトル漫画。今年1月に連載開始し、5月に第1巻が発売。「かわいい女性キャラも魅力です!」(中谷さん)
マユリカ・中谷のマンガは、ずっとトモダチ
ラジオやテレビに出演したときによく思うのは、「芸能界にはいい人が多い」ということ。一見欠点に思われがちなところでも、“おいしい”と捉え、面白い部分を見つけて引き出してくれる人ばかりで、番組中などに助けられることも多いですね。
漫画に“性格”があるとするなら、芸能人並みに人当たりがいいと思う作品がこの『パラショッパーズ』。なんでも肯定的に捉える高校生・天良木がひょんなことから超能力を売買できるアプリ「パラショップ」を手に入れて、“藁を1本だけ動かす能力”で戦います。バトル漫画といえばヒヤヒヤするような展開がつきものですが、この作品にはシリアスな要素がほぼないんです。何より主人公が優しいし、出てくる能力も“パンをパンパンにする”みたいな脱力系が多い。しんどい気持ちにならずにずっと楽しく読めて、人におすすめしやすいです。
僕が思う名作漫画の条件は第1話のクオリティが高いことなんですが、この作品も第1話から完成度がすごく高くて驚きました。作品の序盤って、登場人物や世界観の説明でどうしても情報が多くなりがちなんですけど、この作品はとにかくわかりやすい! トーン処理の有無やコマ割りで緩急がつけられ、場面が一緒でも単調に見える瞬間がないんです。“輪ゴムの威力を変える能力”を持つライバル・西園寺が登場し、天良木がアイデアを駆使しながら対峙して、読者に「頭脳戦が見どころの作品なんや」と気づかせるまでの流れも見事。それを第1話からうまくまとめて描いているところに、読み切り作品を数多く手がけてきた福地先生の技術を感じますね。
5月に第1巻が発売されて、登場人物もだんだん出そろってきたので、今後の展開がますます楽しみです!

©福地翼/小学館
天良木が「パラショップ」のアプリ上で、能力一覧を確認するシーン。

Nakatani
2011年に相方の阪本と、お笑いコンビのマユリカを結成。ポッドキャスト番組『マユリカのうなげろりん!!』が大人気。自らも漫画を描いており、『シャンプーハット』が小学館新人コミック大賞の佳作を受賞。
Text:Koki Yamanashi
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