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「令和風にアップデートした、厨二心
くすぐるハイセンス能力バトル」

『ゴーストフィクサーズ』1巻〜
田中靖規(集英社)
アプリ『少年ジャンプ+』にて、2024年から毎週金曜更新で連載中。『瞳のカトブレパス』『サマータイムレンダ』など、作者の過去作ともクロスオーバーする世界観も、ファンにはたまらないポイントだ。
マユリカ・中谷のマンガは、ずっとトモダチ
14歳の頃、『BIRTHDAY』という漫画を描いていました。内容は、誕生日によって特殊能力が割り当てられる世界を舞台にしたバトルもの。登場人物を考えたり、設定を膨らませるのは難しいけど、“ひとり遊び”みたいで楽しかったな。今回紹介する『ゴーストフィクサーズ』は、そんな“能力バトル”の最新形のような作品。中学生の籠目ひふみと雲母坂最果が、世界にあふれる超常現象を解決して、正しい現実に戻す校正官(フィクサー)として戦う物語。
まず最高なのが、なんでも切れるおもちゃの剣や、4秒間をループし続ける弾数無制限のマシンガンなどの意外性抜群な武器。このジャンルに欠かせない“厨二心”をくすぐる要素が詰まっています。さらにその世界観を引き立てているのが、登場人物の造形。少年漫画のキャラクターは、仮に黒塗りにしてしまってもシルエットだけで誰か見分けられるのが理想と言われることがあるんですが、この作品は全員の個性が際立っていて、似たようなキャラクターがひとりもいない。特にファッションの描き方が上手で、勝ち気で行動派なひふみがエアマックスを履いていたりと、キャラクターがちょうど選びそうな服を着ていて説得力があるんです。随所にYouTubeの“ゆっくり解説”風の能力説明が挟まれたりと、令和的なユルさにも引き込まれる。今っぽさを感じる一方で、作者の田中靖規先生は2007年から活躍するベテラン。先が気になるような伏線回収の連続はさすがの展開力で、ぐいぐい読み進めてしまいます。
設定、絵柄、ファッション、ストーリー、すべての要素で王道を押さえながら現代的にアップデートしているこの作品。大雑把な感想ですけど、ひとつの話を読み始めてから終わるまでずっと、イケイケです!

©田中靖規/集英社
主人公・ひふみ(コマ上)の武器をYouTubeの動画風に解説するシーン。

Nakatani
2011年に相方の阪本と、お笑いコンビのマユリカを結成。ポッドキャスト番組『マユリカのうなげろりん!!』が大人気。自らも漫画を描いており、『シャンプーハット』が小学館新人コミック大賞の佳作を受賞。
Text:Koki Yamanashi
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