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デビューは1992年、ビートルズみたいなスーツを着た若者たちは面構えがよく何かやってくれそうな雰囲気があった。見た目って音楽性を端的に表すもので、楽曲からもビートルズ愛が伝わった。94年6月『イノセント ワールド』でブレイク、僕がプロデューサーの小林武史さんの存在を知ったのはこのときが初めてだった。「今の桜井和寿が放てるメッセージにすべきだ」というアドバイスを受け、書き直しを繰り返してできた苦心作だったそう。その後、リリースする楽曲はすべて大ヒット。まさに黄金期に入っていったものの誰もがうらやむような生活は待っていなかったようで…。特に桜井さんは売れた後の空虚感、プライベートと二重の問題に直面し精神的に追い込まれ、97年3月に活動休止。
その期間中にリリースされたのが今回取り上げる『ニシエヒガシエ』。“俺は吹っ切れた、未来は自分で切り開く、まだ終わっちゃいない”と鬱積したものを爆発させたような、ひずむギターとエレクトロニカ。強い声癖で韻を踏む歌詞が絡み合うサイケデリック・ロック。実験的要素が強く、これまでの彼らのイメージを打ち破った勢いのあるこの楽曲をリリースした後に活動が再開された。新章突入(!?)と思いきや、何事もなかったように胸がキュンキュンするコード展開で感動的に仕上げていくミスチルのフォーミュラは健在。ヒットチューンを量産し、90年代を象徴する大山脈へとなっていった。
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