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服好きたちの私物のなかでも、とくに思い入れの強い「人生のベストバイ」を教えてもらう連載。ひとつには絞りきれないって? なら、3つ教えてください!
人生のベストバイ、3つ教えて!

今回の服好きゲストは、EDIFICEでMDを務める森屋 匠さん。
1.〈Dries Van Noten〉のテーラードジャケット

「好きなブランドはいくつもありますが、やっぱり、飽きるんです。ただ、ドリス(ヴァン ノッテン)だけは、大学時代からずっと変わらず好きで。エディフィスを好きな理由と通じるかもしれませんが、テーラリングが軸にある美しい洋服や、独特な色彩や世界観など、個人的にずっと憧れです」

「ベイクルーズに入社した頃、当時明治通り沿いにあったエディフィスの店舗で働いていたのですが、25日の給料日は、仕事終わりにそのままタクシーを飛ばして、ドリスの青山店へ行って買えるだけ買う、みたいなのを毎月やってました......(笑)」

「このジャケットは、6年ほど前、どうしても欲しくて先輩から譲り売ってもらったもの。コレクションピースでも何でもないジャケットなのですが、1番かも、っていうくらい気に入っています」


「着丈は80くらいで、すごくエレガントなバランス。毎年洋服の気分は変わりますが、ネクタイしたり、タンクトップを合わせたりと、着たいスタイリングを何でも受け止めてくれます」

「クリーニングに何度も出して、着るたびにかならずスチームも当てていますが、体型に沿った落ちないシワがかなり付いています。完全に自分のモノになっていますね」

2.〈seya.〉×〈EDIFICE〉のドックジャケット

「MDになる前はバイヤーをしていたのですが、その当時、初めてセヤに別注をかけてつくってもらったのがこのジャケット。セヤは大好きなブランドのひとつなので、思い入れも強いです」

「この『ドックジャケット』は、過去に1シーズンだけ展開されたもので、その生地を変更しながら、特別に復刻しさせてもらったのがこのジャケット」


「生地は、リーバイス®のダブルエックスみたいな雰囲気のデニム。でも、しなやかな色落ちでフェミニンな空気もある、とてもセヤらしいものです。個人的にもゴリゴリのヴィンテージはキャラじゃないので、この生地の雰囲気もとても気に入っています」

「おそらく古いカバーオールか何かからディテールを借りていると思いますが、ただ、とくに男性デザイナーがつくると、リーやリーバイス®といったオマージュ元がわかりやすかったりする。でもセヤがつくると、そうした過去の名作が強く見え隠れしない、無国籍な感じもあって、それがまたいいんですよね」
3.〈Maison Margiela〉のフィールドジャケット

「このときのマルジェラが掲げていたのは、『着尽くすほどに愛された洋服』といったシーズンテーマです。『軍服などを100年愛着を持って着続けたら、きっとこうなる』、みたいなことをデザインで表現していました」

「このジャケットは、たしか69年のフィールドジャケットがモチーフ。そこに、最初から大きくシワが入っていたり、生地のほつれがあったりします」


「たとえばすごく気に入っているアウターって、ずっとポケットにモノを入れっぱなしにしたりしますよね。そうすると、きっとポケットの底はこんな風にヨレていく。ポケットの入り口もボロボロになっていく」

「そうした加工はぜんぶ手作業によるもので、その超絶技法もすごい。マルジェラにとってミリタリーウェアは繋がりが深いので、らしさを感じますし、でもなかでも、久々に洋服のクオリティに脱帽しました」

「なにより、このシーズンは、ジョン・ガリアーノが退任してグレン・マーティスがデザインをはじめる前の、デザイナー不在のタイミングだったんです。ガリアーノと一緒にやっていたデザインチームが支えてつくった、いわば、名もなきコレクション。にもかかわらず、ここまでのモノづくりができるっていうところに、ブランドの力強さを感じます」

エディフィス MD
森屋 匠 さん
EDIFICEのMDを担当。休みの日は家具探しに熱中しています。密かなマイブームはボーリング。
Photos: Shintaro Yoshimatsu Composition&Text: Masahiro Kosaka[CORNELL]
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