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服好きたちの私物のなかでも、とくに思い入れの強い「人生のベストバイ」を教えてもらう連載。ひとつには絞りきれないって? なら、3つ教えてください!
人生のベストバイ、3つ教えて!

今回の服好きゲストは、アトモスでプレスを務める福田チアキさん。
1.〈NIKE〉の
「AIR JORDAN 1 HI ’85 “BRED”」

「これは、今年の2月に発売された『エア ジョーダン 1』の復刻です。初代モデルをかなり近いところまで再現したフルレザー仕様で、ジョーダンブランドとしての本気を感じる1足」

「ジョーダンは、スニーカーを好きになったきっかけのひとつでもあります。バスケをやってたとかではなくて、海外のラッパーやファッション好きなんかが好んで履いているイメージを持っていました。いまでもスニーカーの代名詞的存在だし、やっぱり、一番買ってきたスニーカーです」

「スニーカーに本格的にハマったのはわりと遅くて、大学時代にアトモスでバイトしはじめてから。それに、僕はコレクターっていうわけでもなくて、あくまでファッションの一部として履いて楽しんでいるタイプです」

「そんななか、このジョーダン 1に関しては、初めてコレクター的な買い方をした1足なんです。この仕事をしている以上は持っておかないといけない、みたいな使命感に駆られたところもあるし、スニーカーというより、もうほとんどアートだと思っています。だから、紐も通したくなくて。いまのところは、ずっと箱に入れてしまってあります」
2.〈NIKE〉の
「AIR JORDAN 4 RETRO OREO」

「音楽がきっかけで、スニーカーを好きになったところもあります。ロックンローラーたちが履いているヴァンズとかコンバースが格好よく見えて、高校や大学時代によく履いていました。スキニーブームのときは足元をちょっと目立たせたくて、ジョーダンが気になるようになって。当時は1万3千円くらいで買えたんですけど、それでもヴァンズとかコンバースに比べると高かった」

「そのなかでも、このジョーダン 4は2万円弱くらいして、かなり思い切った買い物でした。それだけじゃなくて、サンフランシスコに半年間留学へ行っていた大学時代に買った、思い入れ深い1足。初海外っていうことのワクワクと、しかもスニーカーカルチャー発祥のアメリカだったことも相まって、『これはもう買うしかない!』って発売当日に現地のショップに並んだんです」

「日本では即完だったらしいんですけど、アメリカだとゴールデンサイズが29センチくらいで、現地でいうと子どもと同じくらいの僕のサイズは簡単に買えました」

「でも、黒人たちと一緒にショップに並んでるだけで怖いし、当時は“スニーカー狩り”のニュースもよく耳にしていたので、それにもビクビクしていて、ショッパーに入れて帰るのも危ないんじゃないかと思ってリュックを用意して、買ったらすぐにしまって現地の人みたいな顔して帰りました(笑)」

「いまでも当時の情景は鮮明に覚えていて、このスニーカーもすごく大事に履いています。特別ですね」
3.〈LIAM GALLAGHER × ADIDAS ORIGINALS〉の「LG2 SPZL」

「これは、2022年に発売されたリアム・ギャラガーのシグネチャーモデル。ロックが好きなので、こういうのにも目がないんです」

「オアシス全盛の頃、リアムとノエルがライブでアディダスを履いていたりしたこともあって、彼らのシグネチャーモデルはそれまでにも何度か出ていました。でも、なかなか買えないし、手に入れたファンは売ったりしないから二次流通もほとんどしてないんです。今回は絶対欲しいと思って、発売の瞬間にネットで購入しました」

「そして、翌年には『カントリー』に似た配色のものも発売されて、それも手に入れました」

「想像ですけど、どちらのモデルも、リアム本人はあまり気に入ってなかったんじゃないかと思うんです。両方にキャンペーンビジュアルがあるんですが、その画像が、とにかく雑で(笑) 。一方は無理やり合成したような雰囲気だし、もう一方はどこかの控え室で適当に履いて撮った感があって、表情もかなり不機嫌そう(笑) 。でも、そのやらされてる感や雑さが、むしろ個人的にはめちゃくちゃいいなと思って、好きなんです」

「22年に買った方は、翌年にリアムが来日してサマソニに出たときに下ろしました。そういうロマンがあるところも、スニーカーの好きなところですね」

atmos プレス
福田チアキ さん
PRやマーケティングを担当。atmosのスニーカーの撮影やクリエイティブ制作にも携わっている。
Photos: Shintaro Yoshimatsu Composition&Text: Masahiro Kosaka[CORNELL]
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