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ときには不完全さすらも美しさに変えてしまう作り手の思いとクリエイティビティ。6つのクラフトブランドから、一生の相棒となり得るジュエリーを紹介する。
JAYNE FOWLER

city:London since:2016
鋳造は一発勝負、その後に現れるデザインも予測不能。ジェーン・フォーラーのジュエリーが唯一無二といわれるゆえんだ。成型に用いるのは、古くはローマ時代のエジプトで釣り針を作るための技術であった“カトルフィッシュ ボーン キャスティング”という手法。コウイカ(カトルフィッシュ)の甲骨を鋳型にし、自然な層模様に細かなデザインを加え、溶かした金属を流し込む。
特別な設備を必要とせず比較的容易に行える半面で鋳型は一度きりの使用に限られ、再利用はできず、同じものの複製も不可能。現代ではあまり用いられなくなったそんな手法が、職人の手の痕跡と偶発性によって生まれた有機的な美しさを刻むのだ。
Lin Cheung

city:London since:2000
2012年のロンドンパラリンピックのメダルデザインを手がけたことでも知られるイギリスのジュエリー作家、リン・チャン。彼女は、人々が慣れ親しんだ記号をモチーフとして選び、ウイットに富んだ詩的なアプローチを加えることで、人とジュエリーとの親密な関係性を模索し続けている。
天然の真珠母貝をハンドカットして作られた「インスタント ジュエリー ペンダント」で描いたのは、スマホの“衝突”の絵文字。手間暇のかかる手法でジュエリーを作ることが多いリンが、あえて“どれだけ早くジュエリーを作れるか?”という瞬発力を要するチャレンジに挑み、現代のライフスタイルを投影した。
Peter Foster

city:Madrid since:1996
世界中でコム デ ギャルソン 青山店のみが取り扱うことを許されたエクスクルーシブジュエリー。手がけるのは、彫刻やペインティングをバックグラウンドに持ち、1980年代後半にジョン・ムーアとジュディ・ブレイムらによって発足された前衛的なデザイン集団、ハウス・オブ・ビューティ・アンド・カルチャー・コレクティブに所属したピーター・フォスター・マクラウドだ。
“HOBAC”の名が冠されたバングルは、まさに同集団とのつながりがうかがい知れる逸品。
手仕事ゆえの不均衡を生かした彫刻的な造形と華美な装飾を避けた荒々しさすら感じる風合いが、当時の革新的なDIY精神と産業デザインへの反骨心と重なる。
Parts of Four

city:Paris since:2011
アメリカ出身のアーティスト、エヴァン・シュガーマンによるパーツ オブ フォー。そのハンドメイドジュエリーが携えるのは、彫刻的で有機的、そして儀式的な美意識だ。
スターリングシルバーに18Kゴールドメッキを施したピラミッド型のリングでは、あえて酸に浸すことで静かに浸食されたかのようなエレメンタルなムードを表現している。メッキ溶液の濃度、温度、酸浴にさらす時間。すべてが計算された繊細なバランスと偶発性の上に成り立つ表情に同じものはふたつとして存在せず、個体差も変容の痕跡そのもの。
素材、フォルム、プロセスの探究の先に、アルチザンブランドとしての誇りとジュエリーを装飾品にとどめない神秘性が宿る。
BEA BONGIASCA

city:Milan since:2013
カラフルな色使いのエナメルときらめくビジューと遊び心あふれる曲線。2013年にセントラル・セント・マーチンズを優等で卒業したベア ボンジャスカは、アートとしてのジュエリーに焦点を当て、身につけることのできるミニチュアのファンタジーを表現する。
すべてのジュエリーはイタリアのアトリエで製作されており、一点一点手作業でエナメルのカラーリングを施し、専用のオーブンで熱することでエナメルとメタルをぴったり密着。完璧な色合いをめざし、多くのテストを経るため、ひとつのカラーを作り出すのに長い時間を要する。
ポップなデザインの裏にあるのは、イタリアらしい丹念なクラフツマンシップだ。
17 Stephanie Schneider

city:Antwerp since:2006
ドイツアルプスの壮大な自然の中で育ったステファニー・シュナイダーのテクスチャーに対する感性は人里離れたのどかな環境で養われ、後にファッション&テキスタイルデザインを学ぶことで手工芸の技法に自らの美学を融合する術を見出した。
他のジュエリーでは見かけることのないモヘアやシルク、リネンといった有機的な素材使い。それらを伝統的な技法を用いてメタルとともに織り上げ、全く新しいジュエリーに昇華した。流れるようにしなやかなショールは自由にアレンジすることができ、ネックレスとしてもブレスレットとしても着用可能。ネイビーのシルクに編み込まれたシルバーとイエローゴールドが上品な輝きを添える。
Photos:Arata Suzuki[go relax E more] Hair&Make-up:Katsuyoshi Kojima[TRON] Stylist:Takeshi Toyoshima Model:Ryoto Shisaka[MEN’S NON-NO model] Composition&Text:Kenichiro Tatewaki
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