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【ビルケンシュトックの“要塞”に初潜入!】お気に入りのサンダルは?今後どのように変化していく?BIRKENSTOCKのボスに10の質問。

【ビルケンシュトックの“要塞”に初潜入!】お気に入りのサンダルは?今後どのように変化していく?BIRKENSTOCKのボスに10の質問。

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ドイツ ミュンヘン某所
ビルケンシュトックのミュンヘンオフィスに初潜入!


7月、普段は立ち入りが制限されているビルケンシュトックの二つの主要工場やミュンヘンにあるオフィスをめぐるファクトリーツアーが行われた。今回は日本と韓国のグループで構成され、その一員としてメンズノンノも参加。ミュンヘンにあるオフィスでは写真でしか見られなかった資料や商品など過去のアーカイブがずらり。また、表舞台にはあまりでてこないというCEOのオリバー・ライヒェルトさんとのセッションも。その様子を特別公開!

  

ビルケンシュトックとは?

まずはオフィスに並べられた資料や商品など過去のアーカイブとともにビルケンシュトックの歴史を簡単に振り返ろう。


その歴史は1774年、既に靴職人であったヨハネス・ビルケンシュトックの名が教会の資料室にある文書に記されていることがルーツ。代々靴職人としてビルケンシュトック家は発展し、1890年代にはヨハネスの曾孫にあたるコンラッド・ビルケンシュトックが、フランクフルトにワークショップをオープン。健康的な足のための靴を追求し、左右で形の異なる解剖学に基づいた形状の木型を開発。10年以上にわたって、さまざまな素材を使って実験が繰り返された。こうして誕生したのがコルクなどを混合した柔軟なインソール「フットベッド」なのだ。このフットベッドは医療の原理と実践的なデータに基づいた設計になっており柔軟性に富んでいる。


「フットベッド」のアーカイブ。時代に応じて進化しているがベースは変わっていない。

その後、カール(Carl)・ビルケンシュトックが父親のアイディアを受け継ぎ、更に改良を進めていった。そして1954年にはカール(Carl)の息子、これまたカール(Karl)が家業に加わり、1963年にビルケンシュトック初のフットベッドサンダルが誕生。現在は「マドリッド」の名前で知られる。

クリームやオイルなど、フットケアに特化したケアエッセンシャルズラインも現在では取り扱う。天然由来100%でコスモス認証を取得。また一部を除き全てドイツ製と徹底したこだわり。

1960年代後半にはフットベッドを搭載した初となる量産タイプのシューズでファッションシーンに参入した。1973年にツーストラップサンダルの「アリゾナ」、1976年にコルク製クロッグの「ボストン」が誕生し、アメリカ市場で急成長を遂げ、ヨーロッパやアジアへと販路を広げる。そして現在ではドイツに16拠点を構え、国際的には、米国、ブラジル、中国、シンガポール、香港、日本、デンマーク、ポーランド、スロバキア、スペイン、フランス、ノルウェー、ドバイ、インド、英国の販売拠点から活動を展開。世界五大陸の約90カ国で販売されており、今も時代を超えて愛され続けている。

  

ビルケンシュトックのCEO、
オリバー・ライヒェルトさんに
インタビュー!

ビルケンシュトックにおいて、アジア地域をどのように捉えていますか?

アジアは驚くほど多様で、人々の生活様式、住宅の建設方法、食事の調理方法だけでなく、動物の部位や自然資源の活用方法にもその多様性が表れ、それらは多くのインスピレーションを喚び起こします。地域特有の素材、テキスタイル、伝統的な職人技を深く掘り下げ、これらの要素をコレクションに取り入れることに大きな可能性を感じています。

私は常にアジアのチームに、これらのインスピレーションを積極的に収集し、私たちのコレクションに文化的影響を強化するよう奨励してきました。フットベッドは変更しませんが、アッパーの形状やテクスチャーに関しては実験的なアプローチを歓迎しています。例えば日本やマレーシアの既存のバックルを私たちの視点で解釈したデザインを見てみたいですね。文化がデザインにアプローチする方法は非常に豊かで、この文化的多様性は私たちのコレクションに新たなインスピレーションをもたらすでしょう。

ブランドとしての視点では、新しいフットベッド形状の開発を検討しています。私たちは慎重に聴き取りと調査を行っています。特にインドネシアやマレーシアでは、北欧の足に比べてやや幅広で指が短い傾向があります。これは「アジアフィット」という、レギュラーとナローのフットベッドに次ぐ第三のフットベッドの明確な必要性を示しています。

私たちは一方的な考え方のブランドではありません。双方向からの視点を持つデモクラティックなブランドです。そのため、常に相互の意見交換があり、1プラス1は2ではなく3になるのです。

1963年に誕生したビルケンシュトックの元祖フットベッドサンダル。1979年に「マドリッド」の名前がつけられ、ルックスや機能性は現在もほとんど変わっていない。

初めて履いたビルケンシュトックはどのモデルで、現在お気に入りのモデルとカラーはどれですか?

初めて履いたのは黒のアリゾナでしたが、選択の余地があり選んだのではなく、当時私のサイズで入手可能な唯一のモデルだったからです。ドイツの靴店ではサイズ44や45までしか扱っておらず、それ以上のサイズは忘れ去られた棚の奥に埋もれていました。サイズ46のアリゾナを見つけたので、それを選んだんです。

現在、最も気に入っているのはスエードの「マヤリ」です。夏にぴったりで、非常にリラックスした履き心地です。マヤリはたとえちょっと飛び出した指先でも、痛みを感じることなく自由に快適に動かせます。

ビルケンシュトックの靴の魅力を表現するなら?またブランドが決して失ってはならない核心的な哲学や価値観は何だとお考えですか?

ビルケンシュトックを最もシンプルに表現するなら「裸足に次ぐ最高の選択肢」ですね。
柔らかく自然な地面を裸足で歩くことが、足にとって最も良いことです。しかし、現代のコンクリートや硬い地面が支配する都市部では、私たちは次にベストな選択肢を提供しています。何を履いていても自然な動きとバランスを保つ、それがフットベッドがもたらすものです。

決して失ってはならない核心的な価値は、機能、品質、そして伝統です。たった三つだけ、良い鶏のスープのように。基本的なものではありますが、その背後で注がれる手間や意図によって大きく味わいが変わってきます。三つのうち一つでも失ってしまうと、全体が崩れてしまうのです。

のちにZürichとして知られる甲を覆ったモデル。当時も幅広のアッパーによる甲のカバー、サポート感やグリップ感でさまざまな人に人気に。

ビルケンシュトックは1774年から存在し、この歴史を誇れるブランドはほとんどありません。外部の立場から初めて参画した際、その伝統を守るプレッシャーと、新しい時代に合わせて再定義するプレッシャー、どちらの方が強かったでしょうか?

私は革命的なマインドセットで入社しました。私は「すべてを現状のまま保つためには、すべてを変えなければならない」と信じていました。この言葉は、君主制を救おうとしたイタリアの貴族から生まれたものですが、結局彼らは十分に変革しなかったため、結果はお分かりの通りです。ビルケンシュトックでは、変化を受け入れることが私たちの伝統を保つことだと理解していました。

ビルケンシュトックはファッション界において興味深い位置を占めています。機能的でクラシックでありながら、なぜかまだクールな存在です。ファッションを超え、文化的にも重要な意味を持っています。おそらく、近所のコンビニに行く時もパリ・ファッション・ウィークに参加する時も、完璧にふさわしいサンダルはこれだけです。最も興味深いのは、ビルケンシュトックがトレンドから距離を置くことで、逆にトレンドアイテムとなった点です。これは意図的なものだったのでしょうか?そして、ビルケンシュトックの次の一手は何でしょうか?地政学的視点から影響力を拡大する計画はあるのでしょうか?

ファッションは元来、機能性、制服、職業など社会的地位を表すものでした。最高のファッションには、存在する理由があります。私たちのフットベッドがうまくいく理由は、それがすべてのファッションにおいて普遍的な基盤である“機能”を提供するためです。

地球上のあらゆる人が私たちのターゲットです。誰もが健康な足を維持するために、フットベッドを手にするにふさわしい。ファッションや私を嫌う人でも、私たちの靴を履くことができます。なぜなら、“機能”はただ機能としてそこにあるからです。それが、パリのランウェイモデルであろうと、仕事終わりに帰宅するタクシー運転手であろうと、誰もが共感できる理由です。


サンダルやスニーカーなど、シューズの世界は常に進化し続けています。今後どのように変化していくとお考えですか?また、ビルケンシュトックはそれらの変化にどのように対応していくのでしょうか?

シューズは進化し続けるでしょう。サンダル、スニーカー、ブーツなど、あらゆる種類が進化しますが、変わらないのは私たちの核心的な発明である「フットベッド」です。

サンダル、スキーブーツ、スニーカーのいずれを履いていても、私たちはあらゆる用途に対応するソリューションを提供しています。例えば、他のブランドの靴の中に装着できる「ブルーフットベッド」のようなインソールもその一例です。

アジアでは、指先に広いスペースを好む傾向から、クローズドシューズが人気を集めています。ヨーロッパのドレスシューズのように狭く拘束的なデザインとは異なり、私たちの製品は足に自然に沿った歩き方を可能にするように設計されています。そして、そのデザインは決して時代遅れになることはありません。

ビルケンシュトックが250年の歴史を持つからこそ提供できる、強みや特徴とはどういったものでしょうか?

私たちの強みは変わらず、機能性、品質、そして伝統です。過去にとらわれることも、最新のトレンドを追うこともありません。これまで受け継いできたものを尊重しつつ、現代の世界に適合し続けることが重要です。

人々がビルケンシュトックのシューズを試す時、自身で購入するかどうかを決定するでしょう。しかし、そのフットベッドへのアクセスを提供することは、私たちの使命です。鶏のスープのように、試してみないとその良さは分かりません。素材はシンプルに見えても、体験こそが全てです。


ビルケンシュトックにおいて、最も困難なミッションやタスクは何でしたか?

間違いなくファミリー内の人々やエゴの調整が最も困難でした。人間関係のバランスを保ち、衝突を回避し、平和を維持するためには、莫大な配慮とエネルギーが必要でした。

現在のビルケンシュトックは、どこを歩いていると感じますか?

私は、まだ私たちは1歳の誕生日の朝にいると思います。まだ初期の段階です。世界へ本格的に広がり始めたばかりです。

私たちは本当の旅の始まりに過ぎません。年間約4000万足の生産能力を持っていても、世界人口を考慮すればまだ小さな数です。私たちのフットベッドを世界に広めるための取り組みは、まだ始まったばかりです。

250年間市場で新鮮さを保つための鍵となる要因は何でしたか?

ヘリテージを博物館のようにガラスケースに閉じ込めるだけではいけません。ブランドとして保存するだけではなく、より関わりあっていくべきです。

壁を壊し、特に若い世代をプロセスに参加させる必要があります。それがコラボレーションが重要な理由です。私たちは、人々が私たちと共に絵を描くことを望んでいます。ただ鑑賞するだけではありません。

博物館で古い名作をただ眺めているだけでは、やがて誰も興味を持たなくなります。しかし、扉を開き、空白のキャンバスを作り、新しい声が物語に加わるようにすれば、それがブランドを生き生きとさせ、関連性をもたせ、ダイナミックでエネルギーに満ちたものにするのです。

  

身長は2メートル。握手した手も大きかったCEOのオリバー・ライヒェルトさん。拙い英語も通訳無しで受け取り、熱く語ってくれた。まるで「フットベッド」のように。

  

  

ビルケンシュトック CEO
オリバー・ライヒェルト

1971 年ミュンヘン生まれ。長い歴史を持つビルケンシュトックにおいて、ビルケンシュトック家以外から初めて迎えられたトップマネジメントだ。テレビ業界出身で、スポーツチャンネル「DSF(現 Sport1)」の経営再建を成功させた実績を持ち、直感と経験に基づいたリーダーシップで、社内の対立を乗り越え、世代交代と組織改革を実現。実直で率直な性格で、元アメリカンフットボール選手らしいタフさと粘り強さを兼ね備え、抵抗を恐れずに物事を前に進めるタイプだという。彼の指揮のもと、ビルケンシュトックはグローバルで力強い成長を続け、2023年にはニューヨーク証券取引所への上場を果たした。

蝦名 一樹

蝦名 一樹

メンズノンノウェブ編集

メンズノンノウェブのスニーカー連載や不定期のファッション特集、最新のファッションニュースなど、主にファッション記事を担当。

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