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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載。今回はスタイリスト佐藤弘樹さんが、世田谷線世田谷駅のすぐそばの注目古着店、ヨウランを紹介してくれた。階段を上がりドアを開けると、そこには広々とした空間が広がっていた!
世田谷 YAURAN(ヨウラン)
今回のお店を訪ねたのは…
【どんな店?】
メンズファッションが多様化する
80年代以前の古着にフォーカス

近年、古着店が増えている世田谷通り界隈。今回のヨウランも、世田谷線・世田谷駅から徒歩2分ほど。世田谷駅前交差点を越えてすぐという好立地だ。世田谷整形外科の2階にあり、入口の階段に「YAURAN」の存在感のあるサインが設置され、初めてでも迷わない。
個人店ながら100㎡という広々とした店内

ガラス張りのドアを開けると、まず目に飛び込んでくるのは気持ちのいい広さ。デザイナーズブランドのブティックを思わせる洗練された店内は、コンクリート打ちっ放しの一見無機質な内装だが、中央には100年ほど前のアメリカの古い橋を解体した古材を利用した棚が設置され、あたたかみを添える。

洋服は壁際のラックに整然とかけられ、棚の上にはスニーカーや革靴、ネクタイなど、主に小物類が並ぶ。

駒沢通り沿いのガラス窓に目を向けると、そこにも藁を土台にしたテーブルが。一段上がったスペースに、まるでオブジェのように帽子がディスプレイされている。「広い空間で古着をきれいに見せたい」というオーナー、稲葉大輔さんの思いが静かに伝わってくる。
情報にとらわれず服を見てほしい

ヨウランは2023年9月にオープンした新進古着店。池尻大橋の隠れ家的古着店として人気を集めるハグレ(HAg-Le)で経験を積んだ稲葉さんが独立してオープンした。ゆりかごを意味する「揺籃」を英語表記(YAURAN)にして店名とした。スタイリストの佐藤さんはハグレ時代に稲葉さんと知り合い、ヨウランへも足を運ぶようになり、この空間と商品構成に魅了された。

「この空間をゆりかごに見立てて、その中にいる赤ちゃんのように、先入観を持たずに古着を見てほしいという思いを込めました」と稲葉さん。自身の買い付けでも、タグ(ブランド)など情報に頼らず、純粋にいいと感じた“服そのもののよさ”で選ぶことを大切にしているという。

年に3~4回アメリカに出向いて稲葉さんが選ぶのは、主に1960年代後半から70年代初頭の「メンズファッションが多様化する以前」の古着。デザインのベースは決まっていながら、どこかアレンジされた“ベーシックから少し外れた”アイテムをピックアップしている。
テーラードジャケットの品ぞろえは圧巻

中でも力を入れているのがテーラードジャケット。秋冬シーズンは2ラックを割き、夏場もサマーテーラードを中心に、一年を通して店頭に並べている。「この時代ならではの生地のいいものを中心に、シルエットもボクシーでカジュアルに着られるものだけを厳選しています」(稲葉)。

稲葉さんがトラッドなファッションが好きということもあって、カジュアルタイドアップに似合うニットタイもラインナップされている。
ヨウランは広さを活かしたポップアップやイベントも多く、また稲葉さんとつながりのある現行のブランドのアイテムを扱っていたこともあり、これからの展開にも期待が高まる。
【スタッフはどんな人?】
若いながらも業界歴12年という
古着愛にあふれる店主

稲葉さんは千葉県出身。ふたりの兄の影響もあって、中学生の頃にファッションに目覚め、原宿の古着屋に通うように。高校3年生のときには早くも原宿の古着店コネクター(現在は閉店)でアルバイトをしていたという経歴の持ち主だ。中学時代からアメブロを読み漁って古着の知識を蓄え、文化服装学院に進学するも「現場から学ぶことの方が多い」とドロップアウト。
古着店で働き、当時深夜まで営業していた池尻大橋のハグレに通い、やがてスタッフになった。10代の頃から「自分の店を持ちたい」と思っていたこともあり、ハグレに就職して8年目に晴れて独立を果たし、ヨウランをオープンさせた。
世田谷 YAURAN(ヨウラン)の
おすすめ古着5選
稲葉さんはハグレ時代に、アメリカ古着の中でも60年代後半から70年代のメインストリームから少し外れた古着が好きだということに気づき、ヨウランではそこをフックアップしていきたいと考えた。ヨウランが大切にしていることがわかる5選はこちら。
1_ベロアキルティングベスト

ピラミッドスタッズがあしらわれたベロア素材のキルティングベスト。「これは舞台衣装としてつくられたものをディーラーから買い付けました。オーダーメイドやハンドメイドなど、大量生産にはない魅力を持つ“一点もの”のアイテムも積極的にセレクトしています」(稲葉)。
最近、稲葉さんが「パープル」がカラーとして気になっているということで、店内にはパープルのアイテムも多く散見。
2_西ドイツのワークウェア

ブラウン系の色みも旬なコーデュロイのプルオーバーは、西ドイツのワークウェアなのだそう。「ヨウランでは古着の王道でもあるワーク、ミリタリー、アウトドアウェアは扱っていません。唯一の例外が西ドイツのプルオーバースタイルのワークウェアで、用途などは不明ですが、見つけたら必ず仕入れています」(稲葉)。

袖口のリブ使いや両サイド裾のバスケットボタンなどクラシックなディテールが際立ち、デザイナーズブランドの元ネタになっていそうな雰囲気をまとっている。
3_テーラードジャケット

力を入れているテーラードジャケットのおすすめは、60年代のボクシーなダブルジャケット。「ダブルのいいデザインはなかなかないんですよね。これはラペルも大きすぎず、ウエストのシェイプなどもきつくない、カジュアルに着やすいデザインです。60年代は生地もゆっくりと時間をかけてつくられているので、魅力的な素材が多いんです」(稲葉)。
マスタード系のカラーだが、単色ではなくさまざまな色の糸が織り込まれ、奥行のある表情に仕上がっている。レトロなモチーフの裏地も、思わず目を留めてしまうポイント。
4_ウールブルゾン

デザインはシンプルながら、グラフィカルな切り替えが斬新なブルゾン。「70年代のウールブルゾンは、クラシックなものが多い中、いい意味でモダンな切り替えデザインを見つけました。グレー×ブラックの配色もいいし、今のブランドの現行品にもありそうな一着です」(稲葉)。
5_デニムジャケット

ロングポイントの衿が70’sムードのデニムジャケット。「デニムジャケットというよりも、ウエスタンシャツといったほうがよいかもしれません。ウエスタンは好きなジャンルで、この“シャツとジャケットの中間”のようなデニムは、見つけた瞬間、ハッとしました。あまり見たことがないバランス感が面白いなと」(稲葉)。

フロントはドットボタンだが、着丈は短く、背面にはアクションプリーツとシルエットを調整する尾錠が付いている。裾のカッティングもユニークだ。
次回はスタイリスト佐藤さんが
気になったアイテムやコーディネートを紹介!
SHOP DATA
住所:東京都世田谷区世田谷1-15-11 大語ビル2F
営業時間:13:00〜20:00
不定休
Instagram:https://www.instagram.com/_yauran_/

Photos:Kaho Yanagi
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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