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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載。前回に引き続き本記事でも、スタイリスト井田正明さんが松陰神社前の「コンプ」を紹介。
- 松陰神社前 Comp(コンプ)
- 今回のお店を訪ねたのは…
- 【お店の注目ポイント】デイリーに着られるモダンかつスタンダードな古着をラインナップ
- いつも細ギンガムシャツからチェック
- 古着の魅力は“最初から育っている”こと
- カラーアイテムの色みが抜群にいい
- デイリーにまとえる価格設定にも感動
- スタイリスト井田さんが「コンプ」で選んだ古着5選
- 1_細ギンガムのシャツ
- 2_レザーのカーコート
- 3_モールスキンのダブルニーパンツ
- 4_アディダスのリブ襟ジャージ
- 5_イヴ・サンローランのローファー
- 【古着でコーディネート】クリーンなシャツスタイルにレザーカーコートでこなれ感を
- 取材を終えて
- 【動画公開中】コンプの全貌がわかる!?井田さんの実況中継動画は見逃せない!
- SHOP DATA
松陰神社前 Comp(コンプ)
「コンプ」はファッションPRとして活躍する石川大樹さんがオーナーで、今年6月にオープンしたばかりの新しい古着店。石川さんがファッションの軸とする“チープ・シック”を、古着で提案している。
今回のお店を訪ねたのは…
【お店の注目ポイント】
デイリーに着られるモダンかつ
スタンダードな古着をラインナップ

世田谷線の松陰神社前駅から徒歩3分ほど、世田谷通り沿いに出店したコンプ。ブランドやトレンドに振り回されない、現代のスタンダードを軸にした古着を取りそろえる。隣にはレトロな喫茶店「コロラド」が並び、オープン間もないながらも街に溶け込んでいる。

スタイリストの井田さんは、PRとして親交を深めた石川さんから出店の話を聞き、「ベーシックでミニマルなおしゃれを愛する石川さんの古着店ということで、オープンを心待ちにしていました」という。
オープニングは仕事と重なって逃したものの、開店後すぐコンプを訪れ「欲しいものばかり」のセレクトに改めて感動した。

「いろいろな服を着ますが、古着に関してはデイリーなものが好きです。増え続ける古着屋さんの中でも、自分が通うのは、コンプのようにスタンダードな古着をそろえているところばかり」と井田さん。
最近は古着をモードやドレッシーな服装に取り入れるのが好きだそうで、前回(【プロが推す東京の古着屋】vol.9)とは打って変わった、モノトーンのタイドアップスタイルで登場。
いつも細ギンガムシャツからチェック

石川さんに挨拶をして商品を見始めると、さっそく古着愛とともにコンプの魅力を実況中継。
「石川さんのトレードマークのようなイメージがある、細ギンガム(ミニギンガムチェックのこと)のシャツからいつも見ていきます。コンプはくったり感のあるシャツが豊富で、僕も何着かシャツを買いました。BDシャツの襟のボタンを外しているところに、優等生なギンガムチェックシャツを、くったりラフに着てほしいという石川さんの“狙い”を感じます」(井田)
実際、石川さんは意識的に襟のボタンと第1ボタンを外して並べているという。井田さんは仕事の現場で、女性スタッフにコンプで買ったギンガムシャツを褒められた経験があり「コンプの古着を着ていたらモテるんじゃないかな?」と、冗談交じりに笑う。

「レイアウトは来るたびに変わっています。だいたい色かアイテムで分かれていて、今日はこのあたりにスポーティなものが並んでいますね。古いものから新しいものまで、いろいろあって…」(井田)
「アウトドアウェアは年代が新しいほうが機能的で、より着やすかったりすることもあるので、年代にはこだわっていません」(石川)
「どれも石川さんが『いい』と思うものを選んでいるところがよくて、しかも今着ていたらおしゃれに見えるだろうな、というアイテムをちゃんと選んでいるんですよね」(井田)
ふたりの掛け合いが続く。
古着の魅力は“最初から育っている”こと

右壁のラックをチェックする中で気になるアイテムをピックアップする井田さん。目に留まったのはポロ ラルフ ローレンのベーシックなスウェットシャツ。
「僕は新品を育てていくのも好きですが、スウェットをここまでくったりさせるのは時間がかかります。最初から育っているものを着たいという人も多いだろうから、こういうのはうれしいですよね」と井田さんが言うと、すかさず石川さんが袖をめくった。

「ダメージやお直しの跡も古着の醍醐味ですから」(石川)。どれもこれも思い入れのある古着だからか、選んだ理由やその特徴をサッと解説してくれる。

次に井田さんがピックアップしたのは、最近、古着市場で相場が上がっているというカーハートのサンタフェジャケット。
「こういうカーハートのワークブルゾンを、今日みたいなきれいめな格好に羽織るのが、今年は気分です」(井田)
「古着ブルゾンでタイドアップ、いいですね」(石川)
「秋冬の展示会では、パリッとしたアイテムと色褪せているものを合わせるような提案も多かったので、古着でトライするのもいいなと」(井田)
カラーアイテムの色みが抜群にいい

井田さんのコンプ愛は、この後も加速。
「コンプは色の差し方もうまいんです! 例えば、この褪せたピンクのスウェット。このピンクなら確かに着られるなと、思わせてくれるモノが並んでいる。それから、コム デ ギャルソン・オムのジャケットがラインナップされてるあたりにも、“石川さんのセンス”を感じます」(井田)

ザ・ノース・フェイスのヤッケやナイキのジャージなど、気になるアイテムを次々と手に取る。
「こういったスポーティなブルーのアイテムも、デザインが効いていながらどこかレトロで、スタンダード感があります」(井田)。

そしてオーバーサイズのジーンズ。これもコンプの主軸アイテムのひとつ。「太いパンツも石川さんがよくはいています。こういうオーバーサイズのパンツのウエストをギュッと絞って、シャツとか着るのもいいですし…」と、スタイリングのアイデアもどんどん膨らむ。
反対側のラックに移る前に店の中央の靴のコーナーをチェック。
デイリーにまとえる価格設定にも感動

「コンプは靴のセレクトも素敵なんです。靴はレディースの分量が多いですが、僕は足が小さいんで、ストーリーにレディースサイズと書いてあったこのウエスタンブーツも多分履けると思います」(井田)
試着するとジャストサイズ! その価格が13,200円と聞くと「高い靴だと特別なときに履こうとなってしまいがちですが、この価格ならデイリーに履けます。履いてほしいって気持ちが込めれていますよね」(井田)と、石川さんの意図を汲む。

レディースが並ぶラック下の椅子の上に、ナイロンバッグを発見。「こんな感じですか?」と試着すると「コーデのアクセントになりますね。これもしゃれています。どのアイテムも狙いがありつつ、『自由にコーディネートして』というスタンスで置かれているのが、本当にいい」(井田)。

反対側のラックにたどりつくとさっそくコム デ ギャルソン・オムのニットをピックアップ。「こっちには今日、石川さんが着てるみたいな、ギャルソンのベーシックなニットがあったり…。いろんなものがあるけれど、全部に石川さんの美学が落とし込まれています」(井田)。

その後もシルエットのきれいなスラックスを手に取ると、石川さんが「イタリア製のブルックス ブラザーズです」とすかさずコメント。「12,000円とこれもデイリーにはける価格。今日も欲しいものだらけです」(井田)。

最後のラックには今年注目のレザーアウターがいくつか散見する。井田さんはシンプルなカーコートを試着。「レザーのジャケットは20着くらい持っていますが、こういうシンプルなカーコートのようなデザインがいちばん出番が多いです」(井田)。 「服バカ」としても有名な井田さんらしい説得力のあるコメントだ。この井田さんの実況を通して、コンプの特徴は存分に伝わったと思う
スタイリスト井田さんが
「コンプ」で選んだ古着5選
回遊中にあれこれチェックした中から井田さん好みで、しかもコンプの“チープ・シック”のコンセプトや商品構成が反映された5アイテムをセレクトしてくれた。
1_細ギンガムのシャツ

細かいギンガムチェックを井田さんは「細ギンガム」と呼んでいる。「くすんだオリーブグリーンの色みに惹かれました。ポロ ラルフ ローレンのクラシックフィットは、オーバーサイズでラクに着られるところも好み」(井田)。
石川さんは「シャツのセレクト。特にポロ ラルフ ローレンのシャツには力を入れています。古着でシャツを買う理由として、襟が死んでいる(「くたっとしている」という石川さん流の表現)感じがいいというのもあると思うので、それぞれの“理由”をぜひ見つけてください」と補足してくれた。
2_レザーのカーコート

カーコートとはオープントップの車が主流だった時代に生まれた防寒コート。フロントボタンのシンプルなデザインが主流で素材はさまざまだが、今季はレザーに注目したい。
「大きめのサイズ感と、ブラックが色落ちしてブラウンがかっている絶妙な色にやられました。ストライプ裏地で上品さがありきれいな服装とも相性がよく、ラムレザーだからとてもやわらかくて着心地も最高です」(井田)
3_モールスキンのダブルニーパンツ

起毛感が特徴の厚手の綿織物として知られるモールスキン。「秋冬にはきたくなるモールスキンのパンツ。シャツのようなきれいめアイテムを合わせて、タックインして着こなしたいです」(井田)。
カーハートのダブルニーパンツも石川さんが愛用しているアイテムのひとつ。モールスキンは育てがいのある素材で、デニムのようにヒゲやアタリが現われるのも魅力だ。
4_アディダスのリブ襟ジャージ

アディダスのジャージの中でも近年「ATP」仕様として人気を集めるモデル。「リブ襟で、スリーストライプスもない、少し変わったデザインがいいなと思いました。アディダスのジャージは気に入ったものを集めているので、これは欲しいです」(井田)。
「ATP」は“Association for Tennis Professionals(男子プロテニス協会)”の略称で、アディダスがオフィシャルサプライヤーだった1970年代から80年代にかけてつくられたテニス用ジャージを意味する。井田さんがピックアップした「ATP」タイプは、トレフォイルの丸いジッププルに、80’sな空気感が凝縮されている。
5_イヴ・サンローランのローファー

基本革靴という井田さんに響いたローファー型シューズ。イヴ・サンローランで8,800円という価格に井田さんも驚いた。
「ほっそりとしたシルエットで、ブラウン系ならではのセクシーさを感じます。ブラウン系は、ともするとほっこりしがちですがこれはモダンで、ゴールドバックルにも品格があります。ハイブランドの靴も、この価格ならデイリーに履けてうれしいですよね」(井田)
【古着でコーディネート】
クリーンなシャツスタイルに
レザーカーコートでこなれ感を
秋冬はシャツとスラックスをベースにした、きれいめな服装が中心という井田さん。入店する前に「今シーズンはレザージャケットが気になる」と語っていた通り、レザーアウターをコーディネートのメインアイテムに据えた。

「秋冬の装いはシャツ、ニット、スラックスにレザージャケットというスタイルが好きで、どちらかというと紳士的な、ブリティッシュなムードが好みです。その上にちょっと“おじさん的”なレザーのカーコートを羽織ると、決まりすぎず、こなれた雰囲気になるんですよね」(井田)。

シャツはポロ ラルフ ローレンのBDじゃないチェックシャツ。第1ボタンをはずして、中の白Tを見せることでくったりとした襟を活かした。白ラインが際立つチェック柄が、さり気なくブリティッシュなムードを演出している。

足元はウエスタンブーツ。さらりとウエタンコアをミックスする感度の高さはさすが。「スラックスは少しフレアがかったシルエットが、ブーツとの相性がいいと思ったので私服を活かしました。全体をダークトーンでまとめることで、少しオーバーサイズのカーコートもモダンな印象になったと思います」(井田)。
取材を終えて
商品が充実した時期にコンプに来られたことを、素直に喜んでいた井田さん。スタンダードな古着のよさを熱いトークで語った回遊後も「まだコンプの魅力を伝えきれていない」と話し足りない様子。最後は「今日の僕、ちゃんと言えてましたか?」と石川さんに確認していたが、読者の皆さんにはしっかり伝わったはずだ。
ポロ ラルフ ローレンを筆頭に、ザ・ノース・フェイス、アディダス、カーハート、コム デ ギャルソン・オムなど、おしゃれ好きに響くブランドのベーシックなものをピックアップしているところがコンプの強み。無名ブランドでもキャッチーだったり、今っぽかったり。古着好きじゃなくても欲しいアイテムがアレコレ見つかる古着店。わざわざ足を運ぶ価値は大だ。
【動画公開中】
コンプの全貌がわかる!?
井田さんの実況中継動画は見逃せない!
スタンダードな古着が、買いやすい価格でずらりと並ぶコンプ。気になる古着を次々ピックアップしてその魅力を解説しつつ、コンプのコンセプトや石川さんの美学まで井田さんが語り尽くす! 石川さんとの親密な空気感が伝わる掛け合いにも注目。動画を見たら、コンプに直行したくなる!?
SHOP DATA
住所:東京都世田谷区若林3-17-1
営業時間:※営業時間は日によって変わります。詳細はインスタグラムをチェック。
不定休
Instagram:https://www.instagram.com/comp_used_clothing/

Photos : Kaho Yanagi
Movie : Yumi Yamasaki
Movie Edit : Yuki Hayashi
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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