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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載。スタリストの佐久間 歩夢さんが教えてくれた高円寺のヒムセルフは、インスタグラムがスタイリッシュなことでも有名な気鋭の古着店。この日は“今ちょうどいい”アメカジ古着のカラーアイテムが刺さった!
ディレクターの接客で普段は着ない
カラーアイテムに思わず挑戦!
高円寺 HIMSELF(ヒムセルフ)
佐久間さんのCHECK POINT
スタイリストの佐久間さんはまだアシスタントだった3年ほど前、高円寺の古着屋をリサーチしていたときにヒムセルフを見つけた。「アメカジ古着のほか、当時注目されていたステューシーなどストリート系の古着も並んでいて、商品構成がトレンドに合っているなと」(佐久間)。それからインスタグラムもフォローして、定期的に足を運ぶように。

高円寺駅の南口から徒歩5分圏内と駅近。目印の黒いドアを開けて2階の店舗へと階段を上がると、白いクリーンな空間に整然と古着が並ぶ。店内はコンパクトだが、商品が厳選されているから広く感じる。

ヒムセルフが素晴らしいのは、ディレクターのYUKIさん(右)のセンスがめちゃくちゃいいところ。「ドリス ヴァン ノッテンのようなハイブランドとヴィンテージをMIXするYUKIさんの着こなしもさることながら、お店が白で統一されていてミニマルで見やすいし、インスタグラムの写真もすごくきれいなんです」と佐久間さん。
マネージャーの鈴木晃平さん(左)とはこの日初対面ながら、取材を通して親交を深めた。店に入るとまず挨拶をしてさっと店内を見た後に、おすすめのアイテムを訊くのが佐久間さんのスタイル。

この夏はシャツを着たいと店に入る前に話していた通り、シャツに目を留める。「おすすめ、ありますか?」と尋ねるとYUKIさんが「シャツが気になるならヴィンテージのレーヨンシャツ。このブルーとかどうですか?」と対面のラックから推しアイテムを手渡す。

見るなり「かわいい!」と佐久間さん。「こちらは50年代のヴィンテージ。シャツはレーヨン素材をメインに集めています。タンクトップにレーヨンシャツを羽織るスタイルもおすすめです」と、アイテムの説明からコーディネートまでサラッと提案してくれる。「そのシャツにハーパンとかもよさそう!」と、佐久間さんも脳内でコーディネートを始める。

「今季はドリズラージャケットも推しています。今日、僕が着ているのもマックレガーなんですが…」と色違いのヴィンテージを見せてくれる。「確かに、ヒムセルフはドリズラーのイメージもある。向かいのラックにはポロ ラルフ ローレンのもたくさんありました!」と佐久間さんもチェックしていた。
「ドリズラーのレアなものはデザイナーさんがよく買っていきますね。ヒムセルフには海外からもシュプリームのデザインチームやレンツォ・ロッソ(ディーゼルの創設者で現OTB会長)のようなコレクションブランドの関係者もよく来ます」とYUKIさん。感度の高さはお墨付きだ。

次に佐久間さんが手に取ったのはディズニーのブルゾン。「ディズニーもののイメージもあります」と佐久間さんが話すと「キライな人はいませんよね」と鈴木さんが合いの手を入れる。「主張しているアイテムも多いけれど、こういうサラッとしているのもあるし…」(佐久間)。トレンドだったり、懐かしかったり、心を揺さぶられるアイテムが多い様子。

回遊中に佐久間さんの心をとらえ始めたのはカラーアイテム。「コレかわいい! これもラルフ ローレンだ」(佐久間)「それはイタリア製のラルフ ローレン。ヒムセルフのお客様は30代の方も多いので、テーラードジャケットもいいものを見つけたら入れています」(YUKI)「テーラードなんて普段は絶対着ないけど、このぐらいカジュアルだったら着てもいいかも?」(佐久間)。新たな発見に胸を躍らせる。

「この2タックのワイドチノパンはシルエットがいいですね」と鏡を見ながらレングスを確認すると「それはヒムセルフのリメイクシリーズです。ブラックデニムやチノパンの40インチとか、大きいサイズをリメイクして、ワイドパンツにして9,900円で売っています」とYUKIさん。採算が取れないのでは? と尋ねると「古着の入門アイテムとして買っていただいて、やがてヴィンテージにも目を向けていただければと。採算度外視で、願いを込めています」(YUKI)。企業努力にも心を打たれる。

「そのチノパンには、最初に見たベージュのシャツとか合いそう」と佐久間さんが言うと、YUKIさんがすかさずシャツを掲げてくれた。「このシャツはアロウのヴィンテージです。今日の僕もそうですが、ベージュのワントーン、今いいですよね」(YUKI)。「YUKIさんと同じマインドだと、提案をすべて共有できるから、全アイテムいいと思えちゃう (笑)」と、こまやかな接客に改めて感銘を受けた佐久間さん。

ラックの下の棚にも目を向けてみる。「キャップも気が利いているものがたくさん」(佐久間)「今だとラルフ ローレンとメジャーリーグのものを中心に並べています。そのときどきの入荷状況で、ナイキやアウトドアブランドのものが並ぶこともあります。今はこのポロポニーのワンポイントのキャップがすごい人気です」(YUKI)「このキャップ、中学生のときにかぶっていたな。ほかのアイテムは高いけれど、キャップはギリギリ買えたから」(佐久間)。
キャップの隣にはドメスティックの人気デザイナーズブランドが出していそうな、パステルトーンのスウェットが並び「探すと意外にないものがヒムセルフにはあるんですよね」と佐久間さんがしみじみ。

最後に「このアンブロ気になるので着てみていいですか?」と佐久間さん。「高校時代のサッカー部のジャージがアンブロだったんですよ。いなたい感じが、気分でもあって…」(佐久間)、「スポーツジャージは、『今また新鮮』という人と『当時を思い出すからイヤだ』という人、二極に分かれるアイテムですよね」(鈴木)。じっくり時間をかけて、試着したいアイテムを心ゆくまで楽しんだ佐久間さんだった。
高円寺 HIMSELF(ヒムセルフ)
佐久間さんのRECOMMEND ITEMS
YUKIさんや鈴木さんと会話しながら、自身が気になるものだけでなく、ヒムセルフのおすすめも積極的にチェックした佐久間さん。回遊する中で魅せられたカラーアイテムと今、気分の「いなたい」アイテムをピックアップした。
1_ポロ ラルフ ローレンの
ピンクのブルゾン

A-2フライトジャケットをオマージュしたブルゾン。「これは完全に色みですね。ショート丈ブルゾンという形も今どきです。フロントを閉めるとバルーンぽい感じでシルエットもきれいでした。今まで見たことのないポロ ラルフ ローレンです」(佐久間)。
2_チャンピオンのスイングトップ

胸に「UNIVERSITY OF REDLANDS」のプリントがあるカレッジもののスイングトップ。「スイングトップ型のブルゾンが前から好きで、このやれてる感じも個人的にツボで、今回選びました。イエローの色みもよくてタグを見たら、チャンピオン製のヴィンテージだった点は発見」(佐久間)。
3_バッファローチェックのシャツ

バッファローチェックとは大柄なブロックチェックのこと。ハンティング由来でワークシャツの定番でもある。「いなたいイメージがあるバッファローチェックも、気になるアイテム。着こなすのがちょっと難しそうですが、1枚は持っていたいです」(佐久間)。St. JOHN’S BAYは古着でよく見る、ストア系のブランドだ。
4_リーバイス®のリメイクワイドジーンズ

回遊のとき出てきたワイドチノと同じく、ヒムセルフがリメイクしているワイドジーンズ。「僕は腿が太いので、リーバイス®の501とか505だとカッコよくはけないんですね。550はもともともとリラックスシルエットでしかもそれをワイドにリメイクしているので、これは絶対、はけるヤツだと思いました」(佐久間)。

実際にはウエスト40インチのビッグサイズジーンズの、レッグの太さは活かしウエスト部分をはきやすい32~34インチにリメイクして今っぽいワイドジーンズに。洗いをかけて当たりを出し、古着然と仕上げている。ヒムセルフの隠れた人気アイテムだ。
5_ポロ スポーツのレザーブーツ

トゥガードやアンクルパッドなどアウトドアやワーク風ディテールのショートブーツ。「ダブルファスナーのフロントに惹かれました。ストラップのリングのあしらいも品がよくて、ポロ スポーツらしいけれど全体的にはどこかいなたさもあって、ハズしによさそうです」(佐久間)
高円寺 HIMSELF(ヒムセルフ)
佐久間さんのCOORDINATE
ヒムセルフの推しでもあるドリズラージャケットをたくさん試着した佐久間さん。店頭に並ぶカラフルなアイテムにも眼を奪われ、「いつもはモノトーンばかり着ているけれど、カラーアイテムが着てみたくなった」。色の中でも好きなイエローで、デザインも自分好みだったチャンピオンのスイングトップでコーディネートを組むことに。

「さわやかなイエローのスイングトップにベージュボトムを合わせたワントーンスタイルです。パンツはチノパンでもよかったのですが、ブルゾンがフェードしたヴィンテージなので、クリーンな印象のスラックスを選びました。大人っぽく見せつつ、今日着てきたインナーのグラフィックTに呼応するように足元はナイキのアウトドアブーツで、全体をカジュアルにまとめています」(佐久間)

ディレクターのYUKIさんの話を聞いていろいろキャッチした佐久間さん。「ヒムセルフらしさも取り入れつつ、自分が今スタイリングするときに意識しているいなたさもアウトドアブーツで表現しました」(佐久間)。ゴープコア(GORPはGood Old Raisins and Peanutsの頭文字をとった造語。アウトドアを着こなしに取り入れたスタイル)のトレンドも取り入れたハイブリッドなスタイングになった。
取材を終えて
久しぶりにヒムセルフに足を運んだ佐久間さん。ディレクターYUKIさんとの会話を楽しみながら、時間をかけて丁寧に商品を見た。「今回も、ひとつひとつにこだわりがあるのが伝わってきました。どの古着も現行のファッションにマッチするし、店内が明るくて商品が見やすいのもヒムセルフの魅力です。三軒茶屋にオープンした新しいお店に、すぐにも行ってみたくなりました!」(佐久間)
古着業界に新しい風を吹かせているヒムセルフ。ちなみにインスタの素敵な写真は、担当カメラマンがさまざまな工夫をこらして撮影しているのだとか。今のムードにぴったりの合わせやすい古着はもちろん、オールシーズン“素肌にアウター姿”のYUKIさんの「全身コーディネートで欲しくなる」接客を、ぜひとも生で体験してほしい!
詳細は動画でチェック!
ヒムセルフに推しアイテムを取材しつつ、あれこれ試着して、ときに思い出を語る佐久間さん。ディレクターとして存在感満点のYUKIさん、さり気なくフォローしてくれる鈴木さんとの和気あいあいとした、同級生っぽいトークが繰り広げられる。ヒムセルフに行きたくなる動画は必見!

SHOP DATA
住所:東京都杉並区高円寺南4-24-2 2F
営業時間:13:00~20:00 無休
Instagram: https://www.instagram.com/himself___koenji/
Photos : Kaho Yanagi
Movie : Yumi Yamasaki
Movie Edit : Yuki Hayashi
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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