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「かさかさ」
僕の手はこの季節になると、かさかさします。
あかぎれが酷かった昔。母ちゃんが手にクリームを塗ってくれた日々が懐かしい。大人になった今は、自分で塗るようになりました。
ときどき、クリームを塗らずに手がかさかさになっていくのを眺めていることがあります。粉を吹き赤く耐えているところをさすると、零れ落ちます。母ちゃんの優しさの分だけ。
僕の心も、寒い季節にはかさかさします。
心も乾くとあかぎれを起こします。父ちゃんが僕に話をしてくれた日々が懐かしい。大人になった今は、自分で自分に話しかける時間が増えました。
ときどき、話すことをやめて心のかさかさをじっと確かめることがあります。動悸し深く耐えている胸をさすると、心の襞が震えるのがわかります。父ちゃんの優しさの分だけ。
かさかさを治しているところだけれど、そうして、人の優しさを真似られる大人でありたいです。
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