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1828年にパリで誕生して以来、革新的な美を創造し続けてきたゲラン。その専属調香師&フレグランス クリエイション ディレクターとして、厳選された素材をアートへと昇華させるデルフィーヌ・ジェルク氏が初来日。ゲラン調香師としての矜持や大胆かつ創造性に溢れたクリエイションについて、そして贅沢にもメンズにおすすめのフレグランスも教えてくれた。

“ゲルリナーデ”によって
ゲランらしい、そして革新的な
クリエイションが花開く
――「ラール エ ラ マティエール」や「アクア アレゴリア」など魅惑的かつ唯一無二のフレグランスを創造されているデルフィーヌさんですが、大切にされていることは?

いちばんは、ゲランらしいフレグランスであること。私のミッションは、ゲランらしさを新たに解釈することだと捉えています。ゲランのフレグランスには“ゲルリナーデ”と呼んでいるフレグランスを形づくる6つの天然素材があります(ローズ、アイリス、ベルガモット、バニラ、ジャスミン、トンカビーン)。私はこの“ゲルリナーデ”をとても愛し、リスペクトしていて、“red thread=赤い糸”、私にとっての道しるべとなっています。

この6つの素材すべてを毎回使うわけではありませんが、それが必ず含まれていることによってゲランのシグネチャーとなるフレグランスになります。ゲランのフレグランスは、その人のオーラを作り出すとても強い印象を残すものであると昔から言われていて、フランスでは“何の香水をつけているのかはわからないけれど、ゲランなのはわかる”という表現があるほどです。
そして、“ゲルリナーデ”があることによって、私自身がとても自由にクリエイティブなプロセスに入ることができます。私の仕事は革新的で大胆でなければならないと思っていて、トレンドを追いかけるようなことはしませんし、ゲランがこれまでやってきたことを繰り返すこともありません。もちろん歴史やゲランらしさというものはとても大切ですが、私がしなければいけないのは大切なゲランを今後100年も200年も存続させていくことだと考えています。
――約200年もの間、ゲランのフレグランスが人々を惹きつける理由は?

ゲランは伝統的なメゾンですが、成功できたのは伝統を受け継いできたからではなく、大胆で革新的なクリエイションを生み出し続けてきたから。例えば今年100周年を迎えた「シャリマー」ですが、これはとても大胆な発想から生まれたもので、合成香料「エチルバニリン」というバニラの香りを当時としては珍しくふんだんに調香した世界初のアンバーフレグランスとして知られています。
発売から100年経った今でもフレグランス売上げ上位に入るほどのゲランを象徴するフレグランスですが、これがなければ今のゲランはなかったかもしれないと思うほど革新的なものでした。トレンドを追うのではなくトレンドを作る。私自身もその方向性に進んでいきたいと思っています。
100周年を迎え、新しく私が手掛けた「シャリマー レソンス」は、「シャリマー」の魂はそのままによりモダンに再解釈した香りです。ファッションでも、70年代のインスピレーションは好きだけれど、当時の服をそのまま自分のファッションに取り入れようと思うと難しいということがありますよね。それをアジャストさせた形です。
デルフィーヌが選ぶ
メンズに纏ってほしい
ゲランのフレグランス
ラール エ ラ マティエール
チェリー ウード

「チェリー ウード」を気に入ってくださった日本人の若い男性に先日出会ったのですが、沈香の木の芯から抽出された樹脂から作られるウードはお香と香りが似ているので、日本のみなさんには馴染みのある香りなのかもしれませんね。
香りは記憶と強く結びついていて、人は初めての香りよりも自分に親しみのある香りを好む傾向があります。『チェリー ウード』は、シリアスでダークなウードの香りにコントラストとしてチェリーを組み合わせたフレグランス。チェリーが明るく笑顔にしてくれるようなイメージを持ったものです。
ラール エ ラ マティエール
ベチバー フォーヴ

「ベチバー フォーヴ」は、よりフレッシュな組み合わせ。ウッディでミステリアスなベチバーにイチジクがミルキーな印象を与え、青々しさと温かさが響き合います。
「ベチバー フォーヴ」を作り上げるうえで自分のそばに寄り添ってくれたものがラドヤード・キップリングの小説『ジャングル・ブック』。地下に根を張るスモーキーなベチバーと地上に広がるうっそうとしたジャングルの世界を対比させるようにして生まれたのが「ベチバー フォーヴ」です。
ラール エ ラ マティエール
ネロリ プラン シュッド

男性にはネロリの香りもおすすめです。「ネロリ プラン シュッド」はサン=テグジュペリの『南方郵便機』からインスパイアされたフレグランス。モロッコの北から南へと旅するように、フレッシュなオレンジブロッサムから抽出されたネロリから始まり、ジンジャー、ベルガモット、ブラッドオレンジ、ターメリック、サフラン、ベチバーなどマラケシュのスパイスマーケットを想起させるダークでドライな香りへと移行します。
You smell so good.
もっと気軽に
フレグランスのことを話せる世界に

フレグランスに纏い方のルールはありません。それがかえって難しいイメージとなってしまっているのかもしれませんが、ルールがないからこそ“自由”を楽しんでもらいたいですね。大胆にチャレンジして、つけた時に自分がどんな気持ちになるか試してみてください。香りはとてもパーソナルなものなので、自分が好きだと思う香り、気分をよくさせてくれる香りを選んでください。
体温の高いパルスポイント(手首の内側、耳の後ろ、首筋、膝裏など)だけでなく、服に纏ったり髪につけるのもおすすめ。私はスカーフやニットに残るパチュリの香りが大好きです。
洋服を褒めるように、もっと気軽にフレグランスのことを話せるようになることを望んでいます。

ゲラン専属調香師&フレグランス クリエイション ディレクター
デルフィーヌ・ジェルク さん
スイスで幼少期を過ごした後、ESMODでデザインとファッションを学ぶために1999年にパリへ移住。2014年に女性初となるゲラン専属調香師に就任。2021年にはフランス文化大臣より「Chevalier de l’Ordre des Arts et des Lettres (芸術文化勲章)」を受勲。
問い合わせ
ゲランお客様窓口
0120-140-677
公式オンラインブティック
https://www.guerlain.com
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