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第二十三話 〜トム・クルーズ殿を取り調べ〜

 

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MA-1って何で候?

「MA-1」はアメリカ空軍のフライトジャケットで、1952年に空軍パイロットの標準支給品として完成。フライトジャケットの歴史は飛行機が発達する歴史と比例しており、近代型フライトジャケットの象徴がMA-1だ。

 初期の飛行服では防寒が重視され、羊革(ムートン)が主流だった。第二次世界大戦が勃発しアメリカが参戦すると、陸軍航空隊の規模が拡大してフライトジャケットの需要が高まる。大戦終了後は航空隊が独立してアメリカ空軍が誕生、戦闘機はジェット機の時代に突入し、フライトジャケットも軽くて丈夫なナイロン製に移行していく。1945年に「B-15B」が素材にナイロンを採用。極寒地用も羊革からナイロンの「N-2」「N-3」へと進化した。「B-15」は改良を重ね、「B-15D」ではムートンに代わりニットの衿が採用されてMA-1の原型が完成する。

 MA-1の基本デザインはグリーン系のナイロンボディ、衿、袖口、裾はニット素材。フロントにボタン付きの斜めになったメインポケットが二つ。左腕にはジッパー付きのシガレットポケットとペン用ポケット。初期型は裏地がオリーブドラブで、フロントにボンベやワイヤー用のタブが付く。中期型は裏地こそ同じオリーブドラブだが、タブ類は無し。後期型で、オレンジの裏地&リバーシブル仕様になる。オリーブ面のポケットにフラップが付くのが最終モデルだ。なお、色にオレンジが採用されたのは緊急時に裏返して着用すればレスキュー隊の目に留まりやすいため。

 70年代、MA-1はロンドンでスキンヘッズのユニフォームに。日本では1986年の映画『トップガン』のヒットで大流行する。トム・クルーズが着ていたのは「G-1」だが、ストリートファッションに入ってきたフライトジャケットが一気にブレイク。「B-3」「N-2B」といったモデルも人気を集めた。90年代の“渋カジ”時代にはヴィンテージのMA-1が脚光を浴び、オリーブグリーンの裏地を着ていると格が上がった。

 ここ数年、MA-1はモードとストリートの両世界で復活。セレクトショップではアメリカ軍最大のサプライヤーだった「アルファインダストリーズ」社との様々なコラボが登場。海外コレクションはもちろん、日本でも「ファセッタズム」「クリスチャンダダ」などのエッジィなブランドが展開を見せ、今季も引き続き、MA-1熱が続いている!

フライトジャケット年表

1903 ライト兄弟が有人飛行に成功。飛行機時代の幕開け

1914 第一次大戦勃発。飛行服の開発を余儀なくされる

1917 アメリカ陸軍が航空衣料評議委員会を設立

1921 高度4万フィートの高高度飛行に成功

1923 ファスナーが実用化される

1926 海軍で模造革フライトジャケットの支給を開始

1927 A-1ジャケットを正式採用

1931 馬革のA-2夏季用ジャケットが正式採用になり、海軍のフライトジャケットG-1が登場

1934 羊毛皮を採用したB-3が標準服に指定される

1939 第二次世界大戦が始まる。B-6が登場

1941 中国で“フライングタイガー”と呼ばれた、A-2を着たアメリカの義勇軍が活躍

1942 陸軍の将軍がレザーフライトジャケットの廃止を宣言

1944 布製のB-15ジャケットを標準服に指定

1947 陸軍航空隊から米空軍が独立

1952 MA-1が空軍パイロットの標準支給品として完成

1964 ベトナム戦争開戦

1973 耐熱アラミド繊維製のCWU-45/Pが採用になる

1986 映画『トップガン』が公開され、世界的なフライトジャケットブームに

1987 アメリカ空軍の創立40周年を記念してA-2が復活

1992 日本でヴィンテージのフライトジャケットブームが起こり、オリーブ裏地のMA-1が高騰する

2015 ストリートでMA-1がリバイバル

2017 MA-1に続いてB-3も復活

2019 『トップガン』の続編が公開予定!

磯部流、MA-1スタイル!

「やっぱりオリーブグリーンのMA-1が王道でござるな! ビッグサイズを選んでトレンド感を出すで候。ボトムは細身のジーンズをチョイス、裾は切りっぱなしでストリートっぽく。ブリティッシュテイストの千鳥柄セーターもビッグサイズを着てMA-1の裾から出し、レイヤード風に」

漫画:仲間りょう Text:Hisami Kotakemori
参考文献:『飛行服発達史』(ワールドフォトプレス)

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