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洋平’sノンノ

2017年 6月号

大人になるということ

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 先日、とある占い師の方に「精神年齢が中1で止まっていますね」と言われた。笑うでも怒るでもなく、真顔で「なるほど」と納得してしまったのにはいくつか理由がある。ひとつは単純に普段から◯んこ、◯んこと楽屋で口癖のように叫んでること。もうひとつはその頃好きだった物事が基本的に変わってないからである。

 俺が中1のときは1995年。ちょうどブリットポップが世界を席巻していた時代。その渦の中で活躍していたUKロックバンドたちに夢中になった。特にoasisに関しては度を越した愛を注いでしまう。いまだに彼らを超えるバンドは自分の中で一生出てこないと思っている。そしてその頃、初めて焼き肉を食した。正月の際はシリアから日本に一時帰国することがあったのだが、そのときに食べた新宿のとある店の焼き肉の味が衝撃的すぎた。以来、俺の大好物は「焼き肉」である。

 あとは、ダウンタウンもその頃大好きになった。狂ったように毎日同じ『ごっつ』と『ガキ使』を観ていた(姉が日本から送ってくれた録画のやつね)。松本さん、浜田さんの著書もすべて持っていた。そのポイントで俺の精神年齢は完全に停止したんだと思う。それ以降、様々な一流ミュージシャンの演奏を目撃し、感動もした。すばらしい食べ物で胃を満たし、そこから思わぬ刺激を得たこともあった。若手芸人さんのコントで抱腹絶倒することもあった。

 しかしながら結局「oasis」「焼き肉」「ダウンタウン」に戻ってしまう自分がいる。もう意地でも戻ってしまう。それはもうほぼ呪いに近い。たとえ若手で生きのいいミュージシャンが出てきても「ん〜、でも当時のoasisに比べたら…」とか口走ってしまう。そんなときはハッとなり「いや、いかんいかん。もっと柔軟な耳とマインドで受け入れないと」と、職業柄一瞬反省しつつも「でもやっぱり心の底から込み上げる崇拝にも似た、あの感情はない…」と結局中1の頃の自分に、1995年に居座ってしまうのだ。

 さて、ここで終わらすとただの「オッサン化」と言われ、ちゃんとそれを保持しつつ、新しいものに対してのアンテナを広げると「こだわり」になるんだろうなーと思う。確かにかなりの大御所の先輩たちでもアンテナの広い方が多い。まだライヴハウス100名埋まるかどうかぐらいの聞いたこともないようなバンドのCDを持ってたりする。とにかく新しいものが好きな人が多い。俺は…ミュージシャンにしては疎いほうだと思う。何となくフワ〜と流れている音楽を聴いて気に入ったものがあれば調べるぐらい。あんまり自分から“ディグ”らないから、人が盛り上がってる話を「ふ〜ん」と聞きながら唐揚げを頬張っていることが多い。受動的に知ることが多い。そしてよっぽどのことがない限り、次の日には忘れている。

 でも、これは自分にしてはよくできた機能だなと自負している。自分にとって本当に「好き」とか「必要」と思えるものだけは絶対に逃さない高機能のセンサーを持ち合わせている自信がある。絶対に忘れないし、とことん好きになる。いつまでも語れるぐらいの情報を入手する。普段は右から左に流してしまうフラッシュメモリーみたいな脳みそが、そのときだけは屈強なハードディスクになる(よくわからん)。そのセンサーだけなかなかの逸品なはずだ。

 冒頭に戻るが、その占い師の方に「洋平さんは直感だけで生きています」とも言われた。つけ加えると勘だけを頼りに生きています、と。つまり「この情報は自分にとって有益かどうか?」を考えずに判断できる能力を持ち合わせてますよ、ということを言われたと解釈している。だからオッサン化ではなく元からの性格と思うようにした2017年の春であった。

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