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日本人K-POPアーティストの先駆け、NCT 127 ユウタに聞く

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4月号特集「メンズノンノ男子たちのK-POP談義」から、スペシャルインタビューのノーカット全文をウェブ公開。日本人K-POPアーティストのパイオニアに聞く、渡韓の契機やデビューまでの道のり、そしてファッションと今後の活動について。

アジアを越え、世界中でファンを獲得し続けるK-POP。日本人を含む多国籍なメンバーで構成され、その楽曲とファッション、圧倒的なパフォーマンスにより頭角を現しているボーイズグループ“NCT 127”にメンズノンノは注目! 昨夏の記事に続いては“YUTA(ユウタ)”の初めての単独インタビューが実現。自身の故郷でもある大阪での公演直後、興奮も冷めやらぬ中で余すことなく語ってくれた。

大阪で過ごした少年期と
K-POPとの出会い

──韓国へ渡り、K-POPの世界で活躍したいと思ったきっかけは何だったんでしょうか。

「僕、地元の大阪にいた頃はずっとサッカーをしていたんですよ。子どもの頃から活発なタイプで、とにかく友達と朝から晩まで走り回っていました。サッカーも一生懸命やっていたんですが中学生になったころ、将来に悩んで。そんなときにテレビで『東方神起』先輩を観て、かっこいいなあ! と衝撃を受けました。パワフルなパフォーマンスがとにかくすごくて。僕もこんなふうになりたい、と思ったんです。14歳でしたね。母がファンだったので、家にDVDなんかはあったのですが、勧められたというよりは自然に流れてきたものに出会って、自分からいいなと思った感じですね」

──サッカーよりも興味が移っていった?

「姉と妹がダンスをやっていたこともあり、もともと音楽は身近にありました。日常的に聴いたり感じたりしていたのでベースはあったのかもしれないですね」

──前回の取材で、日本ではメンズノンノを読んでいたと言ってくれていましたが、そのころですか。


「そうです! 中高のときモデルを目指している友人がいたんですよ。その子といつも一緒に読んでましたね」

──実際にK-POPの世界に飛び込むまでには、どんないきさつが?

「韓国に渡ったのは16歳です。今所属しているSMエンターテインメントの日本で開催されたオーディションに合格して、練習生として韓国へ行くことになりました。韓国語もまったくわからない状態だったので、行くまでの1か月くらいの間は、家のトイレの壁に韓国語をびっしり書いた紙を貼ったりして一生懸命、覚えました。できることは全部しなきゃと思って。もう完全に独学ですけどね」

──家族にはどのタイミングで相談を?

「あ、僕、内緒で受けましたオーディション。受かってから言いましたね、両親には。『韓国行きたい』って。母はとにかく驚いていて… そして、父の泣く姿を初めて見ました。離れて暮らすことになるのが寂しかったのかもしれないですね。当時は夢中だったのであまり覚えていないんです。姉や妹にも言っていませんでしたね。思春期だったから恥ずかしさみたいなものもあって(笑)。オーディション雑誌を一人でチェックしたりしていましたね」

──そうして自ら切り拓いた行動力が、今につながっているんですね。

「はい。やりたいことがあるなら絶対に行動力は必要だと思います。でも自信があったわけではなく、とりあえず挑戦してみようという気持ちでした。せっかくオーディションがあるなら好きなアーティストがいる事務所だし受けてみたいなって。めっちゃ緊張しましたよ、いまだに思い出すと緊張する(笑)。何から何まで初めてだったので」

デビューを目指した
がむしゃらな日々

──練習生が必ずデビューできるわけではない厳しい世界ですよね。

「振り返ると『本当にもう自分がデビューするのが一番!』という感じで、歌なりダンスなり、とにかく自分のために努力する毎日でしたね。自分のことだけをがむしゃらに考えていた面が多かったと思います。でも、デビューしてみて今回の初めてのツアーでも実感したのは、やっぱりファンのみなさんがいて僕たちがいるのだから、もっといいパフォーマンスを届けたいなと。練習生時代と今とでは、そんなふうに考えるようになったところが違いますね」

──レッスンと並行して韓国語を学んだ?

「レッスンの中で自然に覚えていった感じですね。初めはスマホの通訳アプリで会話したりしていました。変なふうに訳されて、こんがらがっちゃうこともありましたね、ははは(笑)」

──苦労されたはずなのに前向きだった感じがします。

「好きなことをやっているので、もちろん大変なこともあるけれど楽しいです。あと僕、ホームシックというものがあまりないんですよ。途中で帰りたくなったりはしませんでしたね、それはよかったです本当に」

デビューして
向き合ったこと

──特に努力したのはどんなことですか。

「すごく考えたのは、自分の意見や思いをどう相手に伝えたらいいのか。方法はいろいろあると思うんですけれど、どうすればしっかり主張できて、相手を尊重しつつ合致させられるか。言葉の違いではなくて意見や気持ちの伝え方です。“通じるかどうか”って何語を話せる、話せないの問題じゃないんだなって。楽曲でもコンサートでも何かを作るときには、一緒に取り組んでいる人たちと話し合いをたくさんします。自分のやりたいことが出てきて、しっかり意見を通すべきときには通さなくてはいけないと思います。逆に誰かの意見もちゃんと受け取らないといけませんし、一人で作るわけではないので、伝え合うことが必要だと思っています」

──ダンスや歌のレッスン以外での努力も大きかったと。

「ダンスや歌を磨くのは大前提というかもちろんのことでそれプラス、人とどう接するかは本当に大事ですね」
 

──自分の見せ方についても研究を?


「自分を表現することって、たぶん自分自身をしっかり知っていないとできないんじゃないかと思います。ファッションもそうですよね。すごいクリエイターやアーティストとお仕事をする機会もあるんですが、そういう方々と話してみるとやっぱり自分がどういう人間かを把握されているんですよ。自己分析ができていないと自分の色を打ち出すことはできないと思うので、まずは“どう見られたいのか、どう見えているのか”を見つめ直すことかなと。でもそう考えるようになったのは最近ですね。デビューしてから客観的に自分を見て『なんか違うなー、もっとこう見えたいのになぜだろう』とか思ったりしました。そういう経験が大事なんだろうと思います」

──そうして見つかったアーティストとしての自分の強みは何だと思いますか。

「ダンスも歌もまだまだなんですけれど、もっと挑戦したいと思っていて、その意味では“自信があること”だと思います。やったぶんだけ自信は積み重ねられると思うし、自信があれば、あとはみなさんに見せられるように頑張っていくだけ。楽しみにしていてください、という気持ちです」

──デビューして一番よかったことは?

「探り探りですが… コンサートをさせてもらえることですかね、やっぱり。今年の1月にソウルで初めての単独コンサートをして、感じたことがあって。コンサートをすることによって初心に帰れたというか、デビュー当時を思い出せたというか。僕たちにとって、これまでで一番のターニングポイントになったと思います」

ユウタが考える
NCT 127の魅力

──NCT 127は、着々と活躍の場とファンを増やしています。

「僕たちの個性であり強みの芯になっているものは、常に挑戦していることだと思います。音楽の面でもファッションでもオープンマインドなんですよ。メンバーが多国籍なことも大きいと思いますね。すべてのジャンルに挑戦したいよね、とみんなで話しているくらいですし、トレンドを生み出していくチームになりたいんです。だからリリースする曲も毎回がらりとコンセプトを変えたりして。僕たちっぽくないからやめよう、みたいなことが全然ないんです」

──サウンドは常に最先端を取り込んでいて、アンテナを張っている感じですよね。

「それも多国籍だからなんですよね。活動拠点である韓国の音楽情報、そしてアメリカなどの英語圏で何が人気なのかはアメリカやカナダ出身のメンバーに聞いています。R&Bやヒップホップはマーク、ポップス全般はジャニー、と詳しいジャンルも違うからチーム内の誰かに聞ける。そう、何でも聞けるんですよ!(笑) 僕も、日本の流行を教えたりして。チームワークのよさも含め、垣根がなくて開かれている、すごく恵まれた環境ですね」

──日本デビューとなった『Chain』はそれを象徴する曲でした、歌詞も“ボーダーを超えて繋がろう”というメッセージで。

「そうですね、ソウルから東京へ、世界へと共感を繋げていこうという気持ちでパフォーマンスしました。メンズノンノ読者のみなさんにもぜひ聴いて、そしてダンスも見てほしいです」

──ちなみに自身では、どんな音楽を聴いていますか?

「すごくたくさんのジャンルを聴いてますね、僕は。勉強というより好きだから。カニエ・ウエスト、サム・スミス、ブルーノ・マーズ… 日本の曲も聴きます、back numberが好きですね。日本のラッパーではBAD HOPが一番好きで、ラップを担当しているテヨンくんにもこの間、勧めました」

──パフォーマンスを作り上げる際に、グループで大事にしていることは?

「チームワークです。例えば真ん中の人が歌うときに端の人が派手な動きをしたらそちらに目が行ってしまう可能性がありますよね。自分の見せ場だけじゃなくて他のメンバーが輝くところも意識しています。メンバー同士でお互いのいいところを把握しているし、一人一人の得意技が違うのでおもしろいと思います」

──ユウタさんが他のメンバーから褒められるところは?

「照れますね(笑)。キャラクターは明るいと言われます。パフォーマンスは上手い、と言ってくれますがみんな優しいので…。でも指摘されることもありますよ。リーダーのテヨンくんはステージ上での見せ方のセンスがすごくて、『ユウタ、今回の振り付けのここはもうちょっとこうしたらいい』とか『表情はこうやってみたら』などと言ってくれて参考になります。そんなメンバー間のやり取りは、完成したものを発表した後からでも、伝え合って常に修正しています。僕の場合は、ちょっとしたジェスチャーも毎回変えているんですよ。一回一回、違うんです」

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