エベレスト登頂の記録写真展!9/9から10/22まで写真家・石川直樹氏の個展「 8848 」開催
この展覧会では、今年の3月末から約2ヵ月をかけて2度目のエベレスト登山に向かった石川氏が、愛用の6×7中判のフィルムカメラ「マキナ670」「マミヤ7II」の2台で撮影した写真作品約43点と映像作品が展示されている。
今回の登頂で石川氏は、「エベレストに関するあらゆる事象を見聞きし、自分の目で現在のエベレストをきっちりと記録すること。フィルムに刻みつけること」を自らの使命としたという。
自身のブログ「For Everest ちょっと世界のてっぺんまで」( http://www.littlemore.co.jp/foreverest/ )で、石川氏は標高5200mのエベレストベースキャンプ(BC)から2度目の頂上アタック時の心境をこう綴っている。
東京にいるときには、こんなに自分自身をプッシュすることはない。
精神的にきついことはあるかもしれないが、肉体的な限界を超えてさらにがんばらなくてはいけない瞬間などはない。吐きそうになりながら歩き続けることなんてない。もう歩けなくなって雪上に膝から崩れ落ちて、肩で息をすることなんてない。誰も助けてくれないから、這ってでも歩き続けるしかないんだ、などと自分に言い聞かせる瞬間などない。
この登山を終えて早く安心できる場所に戻りたいという思いが頭をよぎる一方で、おそらく後で振り返ってこれ以上ないというほど貴重な時間のただ中にぼくはいる。
10年前の登山と同じだ。苦しさを越えたあの喜びや発見に魅せられて、ぼくは再びこの山に来ている。自分自身が一番それをよくわかっている。二度と得ることのできない大切な時間をぼくはいま、生きている。
登山のディティールはすぐに忘れてしまう。たとえエベレストでも忘れてしまう。だからぼくは書きとどめておく。温かくて身体の隅々に染み渡るこの記憶のスープが、薄く冷たくならないように。
では、再び行ってきます。
2011年5月15日
(一部抜粋)
その後、BC(ベースキャンプ)を再出発して5日目、2011年5月20日午前6時12分、石川直樹氏は10年ぶり2度目のエベレスト登頂に成功した。
「撮れるところまで写真を撮る!」と自らを過酷な状況下のなか鼓舞し続け、交換用フィルム120本を携え、シャッターを押し続けた彼の真摯な想いは、気高く美しい山岳の白峰と重なることだろう。
開催期間:2011年9月9日(金)~10月22日(土)/開場時間:12:00~18:00(※日・月・祝は休廊)/会場:SCAI THE BATHHOUSE(住所:東京都台東区谷中6-1-23柏湯跡/TEL:03-3821-1144)/展示作品:写真作品約43点、映像作品を予定
http://www.scaithebathhouse.com/ja/
Text by Takafumi Hojoh