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ラルフ ローレン、マルジェラ、プーマ…24歳オーナーがピックするデザイナーズ古着の味わい【プロが推す東京の古着屋㉑下北沢 KAKKO(カッコ)

ラルフ ローレン、マルジェラ、プーマ…24歳オーナーがピックするデザイナーズ古着の味わい【プロが推す東京の古着屋㉑下北沢 KAKKO(カッコ)

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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載。今回はスタイリストの後藤留維さんが、今年8月にオープンした下北沢の新鋭古着店、カッコを紹介してくれた。オーナーの中島瞳生(なかじま とうい)さんが同い年とわかって盛り上がる!

スタイリスト 後藤留維さん プロフィール画像

スタイリスト

後藤留維 さん

宮城県出身。スタイリスト庄 将司さんのアシスタントを4年務め、2024年1月に独立。アニメ好きで、アニメ作品やキャラクターをスタイリングのインスピーレションにすることも。上がタイトでボトムがワイドなAラインコーディネートを、足元にボリューム靴で今年顔にするのが気分。

下北沢 KAKKO(カッコ)

染料がにじんだようなMA-1やブーツ風の
プーマのスニーカーetc.欲しいモノが次々と!

下北沢 KAKKO(カッコ)

後藤さんのCHECK POINT

下北沢で古着のリサーチをすることが多い後藤さん。2年前、リサーチ中にカッコの1号店を見つけて、アメリカ古着だけでなく、デザイナーズ古着もピックアップするセレクトのセンスに共感。それからプライベートでも仕事でも足を運ぶようになる。併せてインスタもフォローする中、「SNSでの発信があるときからグンと洗練されたんです。それからフォロワーも増えて」(後藤)。この夏、2号店の告知SNSを見たときから、オープンを心待ちにしていた。

古着屋カッコ スタイリスト後藤さん ラック

カッコに顔見知りのスタッフもいる後藤さんだが、オーナーの中島さんとは話したことがなかった。この日挨拶をして、同じ1999年生まれとわかると急接近。後藤さんはどんなお店も端から端まで丁寧に見て、気になるアイテムはスタッフに問い合わせて知見を深めていく。この日も入口付近の右手ラックにかかっていたメゾン マルタン マルジェラに目を留めた。


店主中島さんと話す後藤さん

それはメゾン マルタン マルジェラのフラットガーメントというテーマのもので、カッコのアイコニックな商品として入口に置いております」と中島さんが解説。「年代まで特定できているんですね」と後藤さんが尋ねると、「画像も出回っていて有名ですよ」(中島)「知らない僕はスタイリスト失格ですよね…」(後藤)といったやりとりが。カッコは店内の中央にもマルジェラのコレクションピースがアート作品のように展示されている。

服を体に当てる後藤さん

後藤さんは気になるアイテムをラックから取り出し、中島さんの解説に耳をかたむけつつ、ときに古着を体に合わせてサイズ感を確かめる。中島さんとプライベートなことなども話しながら、「散弾銃で撃たれたような」穴あきTシャツや「実際に足が入れられる」タイツ付きカットソーなどクセの強いアイテムを掘っていく。


フェード感のあるジャケットを手に取る後藤さん

オーナーの中島さんは「フェードした古着ならではの味」のあるものを多く買い付けている。中には最初からブリーチされたブルゾンも交じり、後藤さんが目ざとく取り出す。「このトミー・ヒルフィガーなんかは、着丈といいデザインといい、今の時代とシンクロしていますよね」(後藤)。会話を楽しみながら手を休めずに右列のラックを見終える。

白いツナギを手に取り眺める後藤さん

端までたどり着いたとき後藤さんが「今、注目しているアイテムは何ですか?」と中島さんに尋ねると「ツナギですね」と回答。「ツナギはパンツ単体では出せない太さが出せるじゃないですか? 上にニットとかアウターを着て、あえてパンツとして使うことに注目しています」(中島)。並んでいたツナギの特徴を愛情たっぷりに、一点一点解説してくれた。


スニーカーを手に取る後藤さん

左列に行く前に、ラックに下に整然と並ぶスニーカーをチェックする後藤さん。「これはディスクシステムのプーマ」とブーツスタイルのスニーカーを手に取ると「1992年に誕生したプーマ独自のディスクシステムを採用した、スピードキャットと同じソールを使ったドライビングシューズです」(中島)と詳細を教えてくれる。中島さんは大学時代にスポーツショップでアルバイトをしていた経歴があり、スニーカーにも詳しい。

ペイントされたチノパンを手に取る後藤さん

カッコはアイテムやジャンル別でなく、色別に商品が陳列されている。左列も入口側から見始め、ベージュ系のコーナーでは激しくペイントされたチノパンを発見。後藤さんが取り出すと「それは1950年代のヴィンテージです。おそらく、意図的にペイントされたものかと」(中島)。


カラフルなニットを手に取る後藤さん

ビビッドカラーのコーナーでは中島さんが巻いていたマフラーのようなランダムカラーのボーダーニットをピックアップ。「ポロ ラルフ ローレンのもので、レディースですね。タイトに着るのが好きな男子には響くかと」(中島)。「僕も上はピタピタが好きなんで、いいですね」(後藤)。メンズ古着に交じってレディースも散見する店内。「最近は女性のお客様も増えました」と中島さん。

店内ディスプレイを挟んで会話する店主中島さんと、後藤さん

じっくり時間をかけて商品を見た後藤さん。最後には海外での買い付けのリアル・エピソードなどで盛り上がり、親交を深めた。「ヘー!」と感心する内容も多いので、詳しくは動画にて。

下北沢 KAKKO(カッコ)

後藤さんが気になったアイテム

トレンドは気にせず直感で古着を選ぶ」という後藤さん。この冬は「ファッションに落とし込めるスノーブーツのようなブーツを探している」とのことで、ブーツ系スニーカーにはもれなく目を留めていた。洋服はレギュラーからデザイナーものまで、着たいと思ったものをジャンルレスにピックアップしてくれた。


1_ブラックがにじむMA-1

90’s ブラックMA-1¥12,100
90’s ブラックMA-1¥12,100

オレンジ面でラックにかかっていた染料がにじんだようなMA-1。「オレンジ面とのリバーシブルになるMA-1がほしいと思っていました。新品だとビビッドすぎるオレンジがいい感じに色あせていて、グラデーションのような黒のにじみもグッドです」と後藤さんがラックから瞬時にピックアップした。中島さんが国内買い付けで仕入れたもので、「ボディの染料が染みでたのか? 経緯がわからないんですが、デザイナーズブランドがつくったようなにじみ方ですよね」と絶賛。

90’s ブラックMA-1¥12,100 ひっくり返したところ

表面はベーシックな黒無地のMA-1。袖にユーティリティポケット、ポケットにフラップ付きのオーソドックスなモデルだ。


2_フードが開くユニークなフーディ

90’s LRLのスウェットパーカ¥12,100
90’s LRLのスウェットパーカ¥12,100

胸にLRLのプリントがあるローレン ラルフ ローレン(LAUREN RALPH LAUREN)のスウェット。「シンプルに配色が好きです! フード部分がセーラーカラーになるのもいいなと思います。かわいさがある服ですが、かっこいい系のアイテムと合わせてクールに着こなしたいですね」(後藤)。

90’s LRLのスウェットパーカ¥12,100 背面

フードがファスナーで開いてセーラーカラーのように着られる、80~90年代に流行したデザイン。ローレン ラルフ ローレンはラルフ ローレンのウィメンズカジュアルラインだ。


3_ヴィンテージのカレッジニット

30’sヴィンテージのカレッジニット¥36,300
30’sヴィンテージのカレッジニット¥36,300

フロントに年代を示していると推測される1939のワッペンが付いたボートネックのニット。「ワッペンの配色とシルエットがいいですよね。カレッジ系というとスウェットのイメージですが、ニットもあるんですね。リブが太いのも逆に今っぽい気がします」(後藤)。「おそらく大学生がスポーツ用に使っていたカレッジニットです。当時のニットはリブの部分が現行のものに比べて格段に長いんですよね。裾にはリペアされた跡があり持ち主の愛が感じられる、僕のテンションが上がるアイテムです」(中島)

30’sヴィンテージのカレッジニット¥36,300 タグのアップ

タグにある通りMcCARTHY-MORRIS CO.は1930年代当時、BOSTON.MASS(ボストン)にあったスポーツ用品会社。1950年代頃までのヴィンテージは、タグにUSAと国名ではなく地名が書かれているのが特徴だ。


4_レッグ付きカットソー

80’s カンサイ ヤマモトのレディースカットソー¥36,300
80’s カンサイ ヤマモトのレディースカットソー¥36,300

裾部分に足が入れられるレッグが付いた、現代の「セカンドスキン」のトレンドにも通じる斬新なカットソー。「レイヤードで面白い着方ができそうだなと思いセレクトしました。今回のセルフコーディネートではシンプルにTシャツの中に入れましたが、まだまだいろんな可能性がありそうです」(後藤)。

5_プーマのドライビングシューズ

00’sプーマのドライビングスニーカー¥38,500

メカっぽい斬新なデザインのブーツスニーカー。「プーマのレーシング系のシューズが今流行っていますが、このディスク式でハイカットのタイプは見たことがなかったので、珍しくて惹かれました」(後藤)


00’sプーマのドライビングスニーカー¥38,500 ヒール部分のアップ

ヒールの部分がえぐれているなど、きちんと機能も考えられています。ディスクを回してシューレースを締めたりゆるめたりする、いわゆるハイテクスニーカー。2000年代ならではデザインに心が躍りました」と中島さんが買い付けた理由を熱く解説。

下北沢 KAKKO(カッコ)

後藤さんのコーディネート

後藤さんはカッコで見つけて「これ欲しかった」と気づいたMA-1を軸にコーディネートを組んでくれた。合わせているのはいずれも回遊中にピックアップしたものばかり。

後藤さんのコーディネート
90’s ブラックMA-1¥12,100・90’sカナダ軍のデジタル迷彩パンツ¥13,200・00’s~10’sアン ドゥムルメステールのダメージTシャツ¥14,300・80’s カンサイ ヤマモトのレディースカットソー¥36,300

MA-1はこのオレンジ面に感動したので、これを主役にしようと。回遊中に見つけた気になったものを合わせてみたら、自然とこのコーディネートが完成しました。デジタルカモはカナダ軍のモノらしいのですが、フェードした色合いがカッコよくて。ミリタリー由来ということで相性もバッチリでした」(後藤)。


後藤さんのコーディネート インナー

アン ドゥムルメステールのダメージTシャツとカンサイのレッグ付きカットソーを重ね着して、レッグ部分を裾からベルトのように垂らしている。「アンはメンズのXXSです。トップスはタイトに着るのが好きで、レイヤードで着てみたらいい感じにまとまりました」(後藤)。デジタルカモと私物のネオンカラーのネックレスも見事な調和ぶりで、私服のような自然体コーディネートになった。

     

取材を終えて

後藤さんは、名物オーナーである中島さんの話をじっくりきいたのはこの日が初めてで、いろいろな発見があった。「アウター、インナー、パンツはもちろん、スニーカーなどシューズも思った以上にいい感じのものがそろっていました! 珍しいアイテムも多く、見ていてすごく楽しかった。中島さんが同じ年とわかって、そこにも刺激を受けました。皆さんも絶対楽しいと思うので、ぜひ足を運んでみてください」(後藤)

フレンドリーな中島さんの接客には、古着好きも初心者もきっと感動するはず。下北沢の駅からカッコまでの途中には1号店の「古着屋KAKKO(カッコ)」もあるので、両方訪れて世界観の違いを楽しむのもおすすめだ。

    

詳細は動画でチェック!

商品を丁寧に見ながら、中島さんにいろいろ聞き出す後藤さんのトーク術も素晴らしい。接客にファンも多い中島さんの古着解説も含め、動画は必見。中島さんの仕事への情熱も伝わってくる。


古着屋 カッコ ロゴ

SHOP DATA

住所:東京都世田谷区代沢5-18-1
営業時間:13:00~20:00
定休日:不定休
Instagram:https://www.instagram.com/kakko_shimokitazawa/
HP:https://webstore-kakko.stores.jp/

Photos : Kaho Yanagi
Movie : Yumi Yamasaki
Movie Edit : Yuki Hayashi
Composition & Text : Hisami Kotakemori

小竹森久美

小竹森久美

エディター

「僕らの永久定番ファイル」や「コレクション速報」などファッションテーマを幅広く執筆。

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