お正月を歌おう | 洋平’sノンノ | MEN'S NON-NO WEB | メンズノンノ ウェブ

洋平’sノンノ

2018年 3月号

お正月を歌おう

あけましておめでとうございます。今年も何卒よろしくお願いします。

 もうそんな挨拶も耳にしなくなった時期ではあるが、いつまでも正月気分に浸っていたい私である。年末年始はまさに年越しの瞬間に冬フェスでライヴをしていた。大勢の観客とともにカウントダウンをしたのだが軽い感動を覚えた。毎年大みそかにライヴを開催しているアーティストさんは毎年こんな気分を味わえるのか。これなら毎年やってもいいね~、と話半分な感じでマネージャーと楽屋で笑いながら話したのを覚えている。

 ライヴの打ち上げもそこそこに、メンバー、スタッフは会場を出た。ある者は飲みに、ある者は旅行へと向かっていった。私はというといったん自宅に戻り、2時間ほど仮眠を取った後、寝ぼけ眼で実家へ帰省のために向かった。帰省といっても神奈川県だから車で30分ぐらいで着く。小旅行にもならない距離だが、実家に近づくにつれなじみのある景色が目にチラチラと映り始めると気持ちが高まる。まるで海外から帰国でもしたような気分に浸れる。どうして久しぶりに帰ってきた地元ってこんなにも愛おしいんだろう? どうして正月って不思議なくらい必ず晴れるんだろう? と考え始めたところで到着する。

 川上家族は毎年1月1日は必ず両親が住む実家に集まる。兄家族、姉家族も姪っ子も含めて全員集合。集合時間は朝の9時、とさっきまで歌って踊ってとっ散らかっていた身としては少々つらい時間帯だ。しかしながら1年の始まりを親族とともに祝うという行事は子どもの頃から毎年欠かさず参加している(一度だけ大学を留年した年に父親にこっぴどく怒られて参加しなかったことがあった)。

 柄にもなく幸福だなと感じる。普段は独り身であり、家族なんて特に必要ないと思っているが、いざ実家に帰ると家族愛のよさを垣間見て、羨ましくなってしまう。一瞬だけ。久しぶりに家族と会うと少々照れくさい。もちろん普段から会ってはいるのだが、改めておせちを囲んで顔を合わせると俺も人の子なんだなぁと実感するからだ。

 川上家は両親のマシンガントークがさく裂するので会話に困ることはまったくない。ライヴで歌うよりも、実家でそのマシンガントークの対応をしているほうが喉がかれる。本当に止めどなく会話をしかけてくるのだ。質問に対しての答えをこっちが頭の中で用意している間に新たな内容の違う質問をしかけてくる。それが両親(特に母)、双方から来るからフリースタイルバトルよりも激しい。2MC対1MCである。もしかしたら俺にはラッパーという道もあったのかもしれないな、と二人のMCを聞き流しながらふと思う。

 普段の日に会うよりも、正月に会うときのほうが家族のちょっとした変化に気づきやすい。おそらく去年とまったく同じ場所で人だけ変わっているからだろう。あー姪っ子ちゃん背高くなったなー、お兄ちゃんちょっと太ったなー、とか。正月の集まりはお互いの姿かたちを確認する、ちょっとした報告会のようなものだ。

 大体どの家でも正月は集まるだろうけど、私はこの恒例行事が好きだ。年々好きになる。それは、この行事はこれからも続いていくだろうけど、もしかしたらいつの日か形が変わってしまうかもしれない…という周知の事実をどこかで察知しているからかもしれない。いい形としても、そうでない形としても含めて。ただ、それが生きているということだし、だからこそ家族として問答無用で集まるということにつながっているんだろうとも思う。

 そんなことを考えながら滞在時間6時間ほどでひとり暮らしの家に帰った。

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