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洋平’sノンノ

2016年 7月号

スカイダイビングのススメ

 さて、もう少ししたら学生諸君は夏休みが始まるであろう。大学生になればサークルの合宿や彼女との旅行など、中学高校時代では堪能できなかった大人の経験ができる。なかでも私が強くおすすめしたいのはスカイダイビングである。

 「そんなこと言っても俺、高所恐怖症だから無理っすよ」と言う方もいらっしゃると思うが、安心していただきたい。何を隠そう私が高所恐怖症だからである。3階以上の場所から地上を見下ろすだけで足がすくんでしまうし、飛行機なんて揺れるたびにマネージャー(おっさん)の手を握ってしまう。その昔、かのDavidBowieは海外ツアーもすべて船で回っていたというからできればそうしたいぐらいである。そんな私だが(何を血迷っていたのか)スカイダイビング経験者である。補足しておくと、スカイダイビングはバンジージャンプと並んで高所恐怖症業界の王者である。メンバーで行ったハワイ旅行のときに「記念だし」と思い立ったわけだが、完全に浮かれていた。

 しかし言わせていただきたい。二度としないと記述したうえではあるが、結果的には「楽しかった」と記す。まず、落下するときはそこまで恐怖を感じない。おそらく大量のアドレナリンが体内に分泌され、感覚が麻痺するのであろう。それよりも上空に向かう際の飛行機が最大の恐怖ポイントである。ゲリラ戦で登場するようなオンボロ飛行機に十数名で乗り込み、扉を開けっ放しで離陸する。「なにゆえあなたたちは扉を開けっ放しなのか?」と聞ける余裕もなく(というか風圧が凄まじく、話し声が聞こえない)、あっという間に雲の上だ。そしていよいよ飛ぶわけだが、その開けっ放しの扉から地上を見下ろすと、そこには見たこともない景色が広がっている。いや、思い出してみると普段飛行機に乗っているときに小さな窓から見るあの景色だ。それが今や、ガラス越しではなく、生で、現実に己の視界いっぱいに広がっている。異次元すぎて怖いかどうかもわからなくなる。

 インストラクターが手順を説明してくれているが、耳に入ってこない。「やっぱやめます」と言える空気など微塵もない。もう飛ぶしかない。錯乱に近い状態のまま、インストラクターに引き連れられてスカイにダイブしたわけだが。もう最高に気持ちよかった。あれは「景色がきれいだ」とか「楽しい」とかその程度の感想では収まりきらない。高所に関して人一倍恐怖を感じてしまう分、思い切って飛び込んだという達成感とある種のカタルシスを味わえる。そして落下してパラシュートを開いた瞬間に訪れる無音の空中世界。鳥たちが上空に浮かんでいるとき、こんな気分なのかという思いにふける。最高の経験だった(二度としないけど)。

 もし諸君がスカイダイビングをすることがあるなら、オプションで写真とDVDは必ずつけることを強くおすすめする。値段は張るが一生の思い出と、恐怖に打ち勝ち、人生の歴史的瞬間をとらえた映像がもらえるなら安いものだろう。

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